都内マンション「家賃7.2万→19万円」の値上げが話題! かなり一方的だけど“2.5倍”の値上げは認められる? 値上げに「上限」はないの? 入居者が知っておくべき対策とは

配信日: 2025.06.27 更新日: 2025.09.26
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都内マンション「家賃7.2万→19万円」の値上げが話題! かなり一方的だけど“2.5倍”の値上げは認められる? 値上げに「上限」はないの? 入居者が知っておくべき対策とは
都内の賃貸マンションで、家賃が「7万2000円から19万円」と、2.5倍近く引き上げるとの通知があったというケースがSNSで話題になりました。その背景にあったのは「オーナーチェンジ」、つまり所有者の変更による家賃改定です。
 
しかし、こんなにも極端な値上げが法的に許されるものなのでしょうか? 長年住み続けている入居者からすればまさに寝耳に水の状況で、支払いが難しい場合、納得できないまま退去を迫られる事態も考えられます。
 
本記事では、家賃の値上げに関する法律やその条件、そして住民が取るべき具体的な対応策について、分かりやすく解説します。
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家賃の値上げは法律上認められているのか

結論から言えば、家賃の値上げそのものは法律上認められています。根拠となるのは借地借家法第32条です。経済状況の変化や固定資産税の増加、周辺相場とのズレなどにより、現在の家賃が「実情に合わなくなった」と判断される場合に、貸主・借主のどちらからでも増減を請求できると定められています。
 
ただし、増額の請求があったからといって、オーナーの意向だけで家賃を引き上げることはできません。近隣にある「同種の建物の借賃に比較して不相当」な安い家賃であるなど、増額には合理的な理由が必要で、入居者との協議が前提とされます。
 
話し合いがまとまらなければ、最終的には借地借家法第32条第2項に基づき、裁判で増額の妥当性が判断されることになります。また、裁判が確定するまでは、入居者は「相当と認める額」を支払うことで入居を続けることが法律上認められています。
 

家賃値上げの上限は?

家賃の値上げについては、民法や借地借家法上、明確な上限は設けられていません。つまり、たとえ2倍以上の大幅な値上げであっても、直ちに違法とされるわけではないのです。
 
ただし、実際には「社会通念上の妥当性」が厳しく問われます。家賃の改定が争われた場合、裁判所は周辺相場や経済情勢、物件の設備状態、築年数、税負担の変化などを総合的に考慮して判断します。
 
そのため、金額の上限がないからといって、正当な理由のない一方的な値上げが認められる可能性は高くありません。法律上は形式的に問題がなくても、内容が常識の範囲を超えていないかが、最終的な判断の鍵を握ります。
 

入居者が取れる対応策

家賃の値上げを通知された場合でも、その内容にただちに応じる必要はありません。入居者として取り得る対応策はいくつか考えられます。感情的に反応するのではなく、法的に認められた権利を冷静に行使することが大切です。
 

1. 値上げの理由を確認する

まずは、固定資産税の増加や近隣相場との比較など、値上げの根拠となる資料の提示をオーナーに求めましょう。
 

2. 交渉を行う

理由に納得できない場合は、そのまま受け入れずに、貸主と話し合いの場を持つことをおすすめします。交渉次第では、家賃の増額幅や適用時期の見直しが検討されることもあるでしょう。
 

3. 調停や裁判を検討する

話し合いがまとまらない場合は、調停や裁判によって妥当性を判断してもらうことを検討します。その際、調停であれば費用や手間を抑えられるでしょう。
 

4. 退去を選択する

条件がどうしても折り合わない場合は、転居も選択肢の1つです。ただし、新居を探すことや転居に伴う費用負担も踏まえ、慎重に判断しましょう。
 

まとめ

家賃が2倍以上に跳ね上がるような大幅な値上げであっても、法律上ただちに認められるわけではありません。実際、話題となった都内のマンションでは、住民の反発を受けてオーナーが値上げの撤回を表明しました。不当だと感じた場合は、冷静に交渉し、必要に応じて専門家や公的機関に相談することで事態が好転する可能性もあります。
 

出典

e-Gov法令検索 借地借家法
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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