子どもの高校進学費、まさかの「収入減」で足りなくなりそうで不安です…「授業料や教材費」を補助してくれる制度はありますか?
そこで今回は、高等学校等就学支援金制度、高校生等奨学給付金について解説していきます。
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高等学校等就学支援金制度
まず紹介するのは、高等学校等就学支援金制度です。2010年に始まったこの制度は、いわゆる「高校授業料無償化」と呼ばれ、全日制の公立・私立高校に通う世帯を対象に行われています。支給が決まった場合、返還の必要はありません。
対象世帯
支給対象となるのは、所得基準である世帯年収目安910万円以下の家庭です。ただし、この910万円という金額は、両親どちらか一人が働いており、高校生一人(16歳以上)、中学生一人の4人家族をモデルケースとしています。実際の所得基準はそれぞれの家庭状況により異なるため注意しましょう。
支給額
支給額については、公立・私立共通で年間上限額は11万8800円です。さらに、私立高校に通う世帯年収目安590万円(こちらもモデルケースの4人家族の場合)以下の家庭には加算があり、最大で年間39万6000円の支給となります。
なお、実際の支給は、所得に応じた金額を学校が受け取るため、手続きを行った家庭が直接受け取るわけではありません。支給額だけでは足りない場合には、差額を支払う必要があります。
また、令和7年度に限り、目安年収910万円以上の家庭に対しても年額11万8800円を支給する高校生等臨時支援金も決定しています。令和8年度からは所得制限の撤廃や、私立高校等の加算額の引き上げなどを含めた高校授業料の無償化が検討されていますので、詳細を知りたい人は最新の情報を確認するようにしましょう。
高校生等奨学給付金とは
次に紹介するのは、高校生等奨学給付金です。前章でみた「高等学校等就学支援金制度」はあくまで授業料のみの支援である一方、この制度では教科書代や教材費・通学用品・修学旅行代など授業料以外の教育費を対象としています。こちらも支給を受けた場合、返還の必要はありません。
対象世帯
対象となるのは次の世帯です。
・生活保護世帯
・住民税所得割が非課税の世帯
生活保護世帯とは、国の定める最低限度の生活を送ることが難しい世帯をいいます。具体的には、収入が国の定める最低生活費に満たさず、活用できる資産がない、親族などの援助も受けられないなど、自力で生活することが難しいと判断された世帯を指します。
住民税非課税世帯とは、収入が一定以下で住民税が課税されない世帯です。
住民税には、所得金額に応じた所得割と定額の均等割があります。このうち、所得割の非課税世帯とは、前年中の総所得金額等が次の計算式で算出した金額以下となる人です(同一生計配偶者または扶養親族がいる場合)。
・35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+42万円
ここでいう扶養親族には16歳未満も含まれます。例えば、両親・子ども2人の4人家族では前年の総所得金額182万円以下が非課税となる世帯です。
所得とは、給与や事業などで得たお金の総額から必要経費(給与所得控除や事業にかかった売上原価や家賃などの経費)を引いた金額です。給与収入のみの場合、4人家族の世帯では年間収入およそ270万円以下であれば、所得割の非課税世帯となる可能性があるでしょう。
家計が急変して非課税相当になった世帯も対象となりますので、覚えておきましょう。
支給額
支給額は、生活保護世帯と住民税非課税世帯、また公立か私立かなどによって異なります。文部科学省によると、令和7年度の給付額は図表1の通りです。
図表1
| 世帯状況 | 給付額(年額) | |
|---|---|---|
| 国公立 | 私立 | |
| 生活保護世帯 (全日制等・通信制) |
3万2300円 | 5万2600円 |
| 住民税非課税世帯 (全日制等) |
14万3700円 | 15万2000円 |
| 住民税非課税世帯 (通信制・専攻科) |
5万500円 | 5万2100円 |
文部科学省 高校生等奨学給付金リーフレット を基に筆者作成
実際の給付は学校に支払われるわけではなく、手続きを行った家庭に支払われます。
国や自治体の制度を上手に活用しよう
授業料を支援する制度として「高校等就学支援金制度」、授業料以外の教育費を支援する制度として「高校生等奨学給付金」があります。どちらも対象となる世帯や支給額には自治体ごとに異なる条件がありますが、該当すれば高校生に必要な教育費の経済的負担を減らせるでしょう。
今回のケースのように、思わぬ支出や収入が減少して教育費の捻出が難しくなった場合、お住まいの自治体や学校に詳細を確認したうえで手続きを行うようにしましょう。
出典
文部科学省 高等学校等就学支援金・高等学校等臨時支援金リーフレット(概要版)
文部科学省 高校生等奨学給付金リーフレット
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
