「修学旅行の費用が出せないかも…」教育費が厳しい家庭を支える「就学援助制度」とは?
そんなときに活用したい制度が「就学援助制度」です。所得に関する一定の条件を満たした場合に活用できるこの制度では、学校生活にかかる費用の経済的負担を軽減できます。
そこで今回は、就学援助制度について詳しく解説していきます。
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就学援助制度について
就学援助制度は、義務教育である小学校・中学校に通う子どもを持つ家庭に対して経済的な理由で学校生活に支障をきたさないように支援する制度です。学校教育法に基づいて各市町村が実施しているこの制度では、所得に関する一定の要件を満たした場合に、必要に応じて学校にかかる費用を援助します。
利用条件
就学援助の対象となるのは、次のいずれかに該当する保護者です。
●要保護者:生活保護法第6条第2項に規定する生活保護を受けている方
●準要保護者:市町村教育委員会が、要保護者に準ずる程度に経済的に困窮していると認める方
具体的な所得基準を見ていきましょう。具体的には、宮城県多賀城市では次のような所得の目安を設けているようです。
表1
| 世帯人数 | 年間総所得額 |
|---|---|
| 2人(親1人、小学生1人) | 217万円以下 |
| 3人(両親、小学生1人) | 265万円以下 |
| 4人(両親、小学生1人、中学生1人) | 321万円以下 |
| 5人(両親、小学生1人、中学生2人) | 364万円以下 |
※宮城県多賀城市「就学援助制度」を基に筆者作成
「収入」と「所得」は似たような意味を持つ言葉ではありますが、税法上の意味合いは異なります。収入は個人が給与や事業などで得たお金の総額です。一方で、所得は次の計算で求めた金額をいいます。
・所得=収入-必要経費
会社員などの給与所得者の必要経費は、収入に応じて決められている給与所得控除となります。例えば、給与収入が400万円の場合、給与所得控除は124万円となり、給与所得が276万円となります。
対象となる費用
就学援助制度では、次のような費用が補助の対象となります。
●学用品費
●体育実技用具費
●新入学児童生徒学用品費など
●通学用品費
●通学費
●修学旅行費
●校外活動費
●医療費
●学校給食費
●クラブ活動費
●生徒会費
●PTA会費
●卒業アルバム代など
●オンライン学習通信費
利用条件となる所得基準や対象となる費用については、各市区町村によって異なります。詳細を知りたい方は、お住まいの自治体へ直接問い合わせてみてください。
支給額について
ここでは、自治体ごとに異なる実際の支給額をご紹介します。東京都文京区、大阪府堺市、静岡県静岡市におけるおもな項目の年間支給額について表2にまとめました。
表2
| 東京都文京区 | 大阪府堺市 | 静岡県静岡市 | |
|---|---|---|---|
| 入学用品など | 小1:6万4300円 小6(中1):8万1000円 |
小学校:5万7060円 中学校:6万3000円 |
小学校:5万7060円 中学校:6万3000円 |
| 学習費など | 小1:1305円~3万7866円 小2~小6:1570円~4万1056円 中1:2535円~6万4626円 中2〜中3:2865円~6万8586円 |
小1:1万3230円 小2~6:1万5500円 中1:2万5040円 中2~中3:2万7310円 |
【学用品】 小学校:1万1630円 中学校:2万2730円 【通学用品】 (1年生以外) 小学校:2270円 中学校:2270円 |
| 給食費 | 全学年:実費 | 現物給付 | 保護者負担分 |
| 修学旅行費 | 中2(中2):6万5000円 | 実費 | 全参加者が同一の行動をし、一律に負担する経費 (小・中を通じてそれぞれ一回) |
※筆者作成
電子申請や郵送、通っている学校に直接必要書類を提出など、自治体ごとに申請方法も異なります。状況により必要書類もさまざまなので、あらかじめお住まいの市区町村に確認しておくと安心です。
就学援助制度は所得に関する一定の要件を満たした場合に利用できる
「就学援助制度」は、所得に関する一定の要件を満たした場合に利用できる制度です。この制度は、経済的な困難を抱える家庭を支える大切な支援制度といえます。
具体的には、学用品・校外学習費・給食費・修学旅行費など、学校生活を送るうえで必要なさまざまな項目が援助対象です。利用を希望する場合は、条件や対象となる費用、必要書類などをお住まいの自治体へ確認して手続きを行うようにしましょう。
出典
文京区 2 援助の内容 就学援助(小・中学校でかかる費用の援助)
堺市 就学援助 援助の内容 支給費目
静岡市教育委員会 就学援助制度のご案内 2.援助の内容
文部科学省 令和5年度子供の学習費踏査 2学校種別の状況 (2)小学校(図2-1~2-3) 図2-2公立・私立小学校における学校教育費の内訳 (6ページ)
文部科学省 令和5年度子供の学習費踏査 2学校種別の状況 (3)中学校(図2-1~2-3) 図3-2公立・私立中学校における学校教育費の内訳 (6ページ)
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
