「高校無償化」の所得制限が撤廃されると聞きました。「年収1000万円」の我が家も“本当に”対象になりますか?

配信日: 2025.07.01 更新日: 2025.09.26
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「高校無償化」の所得制限が撤廃されると聞きました。「年収1000万円」の我が家も“本当に”対象になりますか?
現在、政府は高等学校などでの授業料に関して、「高等学校等就学支援金制度」を実施し、家庭の経済的負担軽減の措置を行っています。では「高校無償化」において、制度を利用するための所得制限に関しては、どのような対応が取られているのでしょうか。
 
本記事では、令和7年より対象者の範囲が広がった「高等学校等就学支援金制度」について解説します。
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「高校無償化」の所得制限は段階的な撤廃に

文部科学省によると、現行の「高等学校等就学支援金」に加え、「高校生等臨時支援金」として令和7年度に限り、所得制限を受けている年収約910万円以上の世帯の高校生へ、国公私立共通のいわゆる基準額である「11万8800円(年額上限)」を支援するとのことです。この措置は、所得制限の事実上の撤廃といえるでしょう。
 
また、令和8年度以降の「高校授業料の無償化」については、私立高校等の加算額の引き上げや所得制限の撤廃も含めて別途検討中としています。順調に審議が進めば、今回の事例における「年収1000万円」の世帯においては、令和8年度以降も高校授業料無償化の対象になるでしょう。
 

そもそも「高校進学」にかかる費用はどのくらい?

高校に進学すると、授業料や入学金のほかに、通学費用や教材費用などさまざまな費用がかかります。
 
文部科学省「令和5年度子供の学習費調査の結果」によると、全日制高等学校の年間の学習費総額は、公立で59万7752円、私立で103万283円です。単純計算すると、3年間では公立で179万3256円、私立で309万849円の学習費がかかります。
 
学校教育費について、同資料によると、全日制公立高校で最も支出が多いのは「通学関係費」の「9万7738円」で、全体の27.8%です。全日制私立高校では、最も多い支出が「授業料」の「23万3102円」で、全体の30.4%となっています。
 
学校外活動費は、公立・私立ともに「補助学習費」の支出が最も多くの割合を占めており、公立で20.2%、私立で17.2%でした。
 
「高等学校等就学支援金制度」で対象となるのは、このうちの授業料相当額です。
 

「高校進学」にかかる意外な費用

公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの「セーブ・ザ・チルドレン 子ども給付金~新入学サポート2024~利用者アンケート調査結果」によると、高校1年生の保護者に対する「入学にあたって、タブレット・パソコンの購入が必要でしたか」という質問において、国公立では45.8%、私立では67.4%の方が「はい」と回答しており、パソコン・タブレット代の全国平均額は国公立においては6万496円、私立では8万6727円でした。
 
またその際、「自治体や学校からの補助金や助成金はありましたか」という質問には、国公立では55.6%、私立では95.3%が「いいえ」という回答となりました。
 
さらに、パソコン・タブレット機器本体以外の費用もかかる場合があるようです。
 
同資料によれば、「保護ケース・バッグや、その他アクセサリー類」「家庭でのインターネット環境の整備」「故障や紛失の際の保証費用・保険費用」などがかかるケースがあるようで、その費用における全国平均額は、国公立高校では1万5982円、私立高校は2万510円です。
 
端末の購入費用が公費になるか保護者負担になるか、費用の一部を公費で負担してもらえるかは、自治体や学校によって異なります。全額保護者負担になっている場合、アクセサリー類の購入やネット環境の整備といった端末本体以外にかかる費用を合わせると、家庭への経済的負担はかなり大きくなるといえるでしょう。
 

まとめ

「高校無償化」に関する所得制限は、徐々に撤廃の方向へ動いているようです。
 
令和7年度に限っては、国公私立共通のいわゆる基準額である「年額11万8800円」を上限に高校生等臨時支援金として支援してもらえるため、実質的に所得制限が撤廃になっているといえるでしょう。令和8年度からの所得制限撤廃や私立高校等の加算額引き上げも別途検討されています。
 

出典

文部科学省 高等学校等就学支援金・高校生等臨時支援金リーフレット(概要版)(1ページ)
文部科学省 令和5年度子供の学習費調査の結果を公表します 【調査結果のポイント】 1 学習費全体の状況(1)学校種別の学習費総額(1ページ)、2 学校種別の状況 (4)高等学校(全日制)(10ページ)
公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン セーブ・ザ・チルドレン 子ども給付金~新入学サポート2024~利用者アンケート調査結果(8ページ~10ページ)
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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