「窓口負担」が軽くなる!「高額療養費制度」の賢い活用法を医療費が「100万円」かかったケースで解説

配信日: 2025.07.01 更新日: 2025.09.26
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「窓口負担」が軽くなる!「高額療養費制度」の賢い活用法を医療費が「100万円」かかったケースで解説
「高額療養費制度」は、金銭的な理由で治療を諦めずに済む可能性がある、患者にとってなくてはならない制度の一つといえるでしょう。しかしながら事前申請が必要な点、いったん窓口で自己負担分の立て替えが必要など、活用するために覚えておきたい点が多々あります。
 
本記事では、この高額療養費制度を賢く活用する方法について解説します。
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高額な医療費の場合は「限度額適用認定証」の利用が便利! 医療費が100万円かかったケースで、自己負担額の上限は?

高額療養費制度とは、1ヶ月にかかった医療費が自己負担限度額を超えた場合に、超過分の払い戻しが受けられる制度です。医療費が家計を圧迫することを防ぐのが趣旨であり、限度額は所得や年齢などで区分が設けられ、おおむね個人の経済状況に見合った金額が設定されています。
 
厚生労働省が発表した「高額療養費制度を利用される皆さまへ」という資料でモデルケースとして示されている、70歳以上で年収が370万円~770万円の場合の自己負担上限額を算出する計算式は、「8万100円+(かかった医療費-26万7000円)×1パーセント」です。
 
かかった医療費が100万円で、自己負担が3割とすると、窓口で30万円の支払いが必要になります。一方で医療費100万円を上記の計算式に当てはめると、自己負担上限額は8万7430円となります。
 
高額療養費制度を利用すれば、窓口で30万円を支払っても、差額の21万2570円の払い戻しを受けることが可能です。ただし、その場で即時払い戻しが受けられるというわけではなく、一度全額を負担する必要がある点には注意しましょう。
 
また、高額な医療費がかかることがあらかじめ分かっている場合は、限度額適用認定証の併用も検討するといいかもしれません。入院手続きの際、保険証と「限度額適用認定証」を併せて医療機関の窓口に提出することで、医療機関窓口での支払金額そのものが1ヶ月ごとの自己負担限度額まで下がり、立て替え払いによる金銭的な負担を減らすことができます。
 

「マイナ保険証」を利用すれば「限度額適用認定証」の申請も原則不要

マイナンバーカードに健康保険証の利用登録をした「マイナ保険証」を所持している場合は、限度額適用認定証の申請が不要になるのでぜひ活用しましょう。医療機関の窓口でマイナ保険証を提示して限度額情報の表示に同意すれば、窓口で支払う医療費を半自動的に自己負担限度額まで下げることができます。
 
ただし、医療機関がオンラインでの資格確認を導入していない場合は限度額適用認定証が必要になる点に注意しましょう。
 

「高額療養費制度」の3つの注意点

このように便利な制度ですが、利用の際には3つの注意点があります。
 
まず1つ目が、すぐ返金されるわけではないということです。超過分の払い戻しには医療機関が提出する診療報酬明細書をもとにした審査が必要で、お金が返ってくるまでには3ヶ月以上かかることも珍しくないようです。事前に高額な医療費がかかるとわかっている場合は、限度額適用認定証を活用して窓口での負担を減らしましょう。
 
2つ目に、費用は1ヶ月単位で計算するということに注意が必要です。例えば3週間入院した場合、それが月末をまたいでいないのであれば1回の申請で全額の払い出しを受けられますが、月をまたいでしまうと2回に分けて申請をしなければなりません。自己負担分の支払いも2ヶ月分となる点は落とし穴といえます。
 
最後に、入院時の食費やベッド代といった上乗せ部分は制度の対象外で、原則として全額自己負担となる点も覚えておきましょう。
 

まとめ

「高額療養費制度」は事前に申請しておくことで、窓口負担を軽くできる可能性があります。ただし実際の支払いにはタイムラグがあり、医療機関での支払時には立て替え払いが必要となるため、負担を抑えたい場合は限度額適用認定証を併用しましょう。
 
オンラインでの資格確認に対応した医療機関においては、マイナ保険証の限度額表示機能を活用するとより便利に活用できます。月単位の申請となることや、一部対象外の費用がある点には気を付けましょう。
 

出典

厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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