入院費用の総額は平均「20万円」?「高額療養費制度」で取り戻せる金額を解説
本記事では、入院時の平均自己負担費用や、高額療養費制度を利用している人の割合、例として20万円の入院費用を負担した場合に支給される金額を解説します。
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入院時の自己負担費用は「平均19万8000円」
公益財団法人生命保険文化センターの調査によると、直近で入院した場合の平均自己負担費用は、19万8000円でした。直近の入院における平均入院日数は17.7日、1日あたりの平均自己負担費用は、2万700円となっています。入院日数別に、直近の入院時の平均自己負担費用を表1にまとめました。
表1
| 入院日数 | 平均自己負担費用 |
|---|---|
| 全体 | 19万8000円 |
| 5日未満 | 8万7000円 |
| 5~7日 | 15万2000円 |
| 8~14日 | 16万4000円 |
| 15~30日 | 28万4000円 |
| 31~60日 | 30万9000円 |
| 61日以上 | 75万9000円 |
出典:公益財団法人生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」を基に筆者作成
「6割超」の方は「高額療養費制度」を利用している
同調査によると、6割を超える人が高額療養費制度を活用しているようです。そのうち、現物給付は46.8パーセント、現金給付は14.1パーセントです。
厚生労働省によると、高額療養費制度の現物給付化とは、医療機関の窓口での1ヶ月の支払いを自己負担限度額までにできる方法です。これにより、医療費を一時的に立て替える必要がなくなり、窓口での支払いを最初から自己負担限度額までにできます。
現物給付化は医療機関の窓口でマイナ保険証を提出し、限度額情報の表示に同意することで利用可能です。ただし、この方法はオンライン資格確認のシステムを導入している医療機関でなければできないため確認が必要です。
導入されていない医療機関を受診する場合や、マイナ保険証を登録していない場合は、限度額適用認定証を保険証と併せて、医療機関の窓口に提出する必要があります。
「20万円」の入院費用を負担した場合「高額療養費制度」でいくら取り戻せる?
高額療養費制度の自己負担上限額は、所得や年齢によって異なり、総医療費(保険適用される診察費用の総額)によっても自己負担限度額は変わります。ここでは、20万円の入院費用を負担した場合に支給される金額を計算しましょう。
69歳以下の人で自己負担割合が3割の場合、総医療費は約67万円となります。厚生労働省によると、適用区分が年収約370万~約770万円の場合、1ヶ月あたりの上限額は「8万100円+(医療費-26万7000円)×1パーセント」です。
医療費が67万円の場合、1ヶ月あたりの上限額は8万4130円となるため、払い戻される医療費は差額の11万5870円となる計算です。ただし、保険適用外の差額ベッド代や食事代などは、高額療養費制度の支給の対象になりません。
なお、政府は2025年8月に予定されていた高額療養費の自己負担上限額引き上げを見送るようです。2026年秋までに制度見直しの結論を出す方針を示しているため、制度変更の可能性があります。最新の情報を確認するのがいいでしょう。
まとめ
入院時の平均自己負担費用は19.8万円となっており、入院日数が長くなるほど自己負担費用は高くなる傾向です。また、6割を超える人が高額療養費制度を活用し、現物給付の利用が46.8パーセント、現金給付利用が14.1パーセントとなっています。
20万円の入院費用を負担した場合、69歳以下の人で年収約370万~約770万円であれば11万5870円が払い戻される計算です。ただし、この金額はあくまで試算であり、年齢や所得によって自己負担上限額は変わるため注意しましょう。
出典
公益財団法人生命保険文化センター 2022(令和4)年度 生活保障に関する調査(56~58ページ)
厚生労働省保険局 高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
