長男は「公立の大学」でしたが、次男は「私立大学」への進学になりそうです。費用が心配なのですが、公立と私立で「教育費の差」はどれくらいありますか?
そこで今回は、公立大学と私立大学における学費の平均額を紹介します。子どもが大学進学を検討している場合には、ぜひ参考にしてみてください。
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大学進学率の増加
高校卒業後に大学へ進学する人の割合は年々増加しています。文部科学省が公表している「令和6年度学校基本調査(確定値)」によると、年齢が18歳の人の大学進学率は約59%です。
進学率上昇の理由として経済的な問題で進学を諦める人が減少したことや、入試の種類増加などが考えられます。大学進学を選択しやすい環境が整ってきていることが反映された結果でした。
大学生活にかかる費用
大学進学にかかる費用には、授業料だけでなく、入学料や施設維持・実習などの費用も必要です。ここでは大学にかかる費用を、公立と私立で分けて見ていきます。
公立大学の学費
公立大学の授業料は、文部科学省が定める国立大学の標準額に準じた金額です。地元の大学に進学する場合、入学料は地域外からの入学者に比べて低い傾向にあります。以下の表1は、2024年度の入学料と授業料の平均です。
表1
| 地域内からの入学 | 地域外からの入学 | |
|---|---|---|
| 入学料 | 約22万6000円 | 約38万9000円 |
| 授業料(1年) | 約53万6000円 | 約53万6000円 |
| 授業料(4年) | 約214万4000円 | 約214万4000円 |
| 合計 | 約237万円 | 約253万3000円 |
※文部科学省「2024年度学生納付金調査結果(大学昼間部)」より筆者作成
入学料には平均で約16万円の差がありました。ただし、この金額はあくまでも平均値であるため、正確な情報は大学のパンフレットやサイトで確認してください。
私立大学の学費
私立大学の費用は学部によって大きく異なります。特に、医学系の学部であれば高額な費用が必要です。以下の表2は、文理・医歯系別で見た各項目の平均額です。
表2
| 文科系 | 理科系 | 医歯系 | |
|---|---|---|---|
| 入学料 | 約22万4000円 | 約23万5000円 | 約107万7000円 |
| 授業料(1年) | 約82万7000円 | 約116万3000円 | 約286万4000円 |
| 授業料(4年) ※医歯系は6年 |
約330万8000円 | 約465万2000円 | 約1718万4000円 |
| 施設設備費 | 約14万4000円 | 約13万3000円 | 約88万1000円 |
| 実験実習費 | 約7000円 | 約3万7000円 | 約18万3000円 |
| その他 | 約7万4000円 | 約4万1000円 | 約128万円 |
| 合計 | 約443万2000円 | 約573万1000円 | 約2190万9000円 |
※文部科学省「令和5年度私立大学等入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について」より筆者作成
見比べてみるとその差は歴然で、一番安い私立文科系でも公立大学の合計と比較して約2倍の費用がかかります。文科系と理科系では授業料において4年間で130万円ほどの差となっています。
この中で突出しているのは医歯系です。医学・歯学部は6年間通う必要があり、年間にかかる費用も明らかに高額なため、合計で見ると圧倒的な差が生じました。
学費以外の費用
大学生活にかかる費用は学費のみではありません。交通機関で通う場合は定期代が必要で、車で通う場合にはガソリン代や維持費が必要です。また、実家を出て一人暮らしをする場合には生活費も発生します。独立行政法人日本学生支援機構の調査によると、自宅から通学する人の年間通学費は約9万8000円、娯楽等も含めた生活費は約42万4000円です。
下宿やアパートを借りている人の通学費は約2万5000円、生活費は約107万2000円かかります。生活状況によって必要な金額は大きく変わりますが、4年間で計算すると考えておく必要がある出費です。
大学費用の援助
金銭的負担が大きく、学費の支払いが困難な人のために、学費を援助する制度が実施されています。収入や学習意欲などの条件を満たしていれば援助を受けられますが、金額は世帯収入や生活状況(実家暮らしか一人暮らしか)などで異なります。
なお、この制度は審査を通れば必ず受け続けられるものではありません。更新の際に要件を満たしていない場合には継続不可能です。文部科学省や日本学生支援機構のホームページから情報を確認してください。
公立と私立で学費の差は2倍以上
公立大学における4年間の学費が240万円前後であることに対し、私立大学では最も安い文科系でも約440万円、理科系は約570万円の学費がかかります。大学や学部で違いはありますが、最低でもこの金額は用意しておくべきでしょう。
なお、条件を満たせば学費の援助を受けられる制度があります。ただし、援助を受けられる額は状況によって異なるため、ホームページ等で詳細の把握が必要です。金銭面を理由に進学を諦めずに済むように、便利な制度を利用しましょう。
出典
文部科学省 令和6年度学校基本調査(確定値)
文部科学省 令和5年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金等 平均額(定員1人当たり)の調査結果について
文部科学省 2024年度 学生納付金調査結果(大学昼間部)
独立行政法人 日本学生支援機構 令和4年度学生生活調査
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
