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本記事では、近年の出産費用推移とその内訳、出産育児一時金制度の仕組みを解説します。
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目次
正常分娩の出産費用は「51万7952円」で増加傾向にある
下記の表は正常分娩における出産費用を経年で比較したものです。
表1
| 出産費用(控除後の妊婦合計負担額) | ||
|---|---|---|
| 令和4年度(A) | 48万2294円 | |
| 令和5年度(B) | 50万6540円 | |
| 令和6年度上半期(C) | 51万7952円 | |
| 出産費用の差額 | (B)-(A) | 2万4246円(+5パーセント) |
| (C)-(A) | 3万5658円(+7パーセント) | |
※参考資料を基に筆者作成
令和5年度の出産費用は前年度に比べ、5パーセント増となっています。また、令和6年度上半期の出産費用は令和4年度に比べ、7パーセント増となっています。このことから出産費用は増加傾向にあることが分かります。
では、出産費用の詳細はどうなっているのでしょうか。一般的に出産費用は以下に示す費用の合計で算出されます。
●入院料:室料や食事料
●分娩料:正常分娩時の、医師・助産師の技術料及び分娩時の看護・介助料※
●新生児管理保育料:新生児の管理・保育に要した費用、検査・薬剤・処置・手当などを含める※
●検査・薬剤料:妊婦の検査・薬剤料※
●処置・手当料:妊婦の医学的処置や乳房ケア、産褥指導等に係る費用※
●室料差額:差額が必要な部屋に入院した場合の差額
●産科医療補償制度:産科医療補償制度の掛金相当費用
●その他:文書料、材料費など上記に含まれない費用
※療養の給付対象となった場合は含まれない
これらの費用においても、増加傾向にあるため、結果として出産費用が増加しています。
出産育児一時金の直接支払制度を利用しても東京都の場合は「20万円以上」の貯蓄が必要
正常分娩は病気やけがとは異なり、保険適用外です。そのため、出産費用は全額自己負担となります。
しかし、出産費用を支援する出産育児一時金制度があります。これは、厚生労働省が健康保険法第101条によって定められている制度で、健康保険に加入している被保険者、もしくは被扶養者が対象となります。
この制度を利用することで、1児につき50万円が支給されます。支給されるための条件は、被保険者または被扶養者が妊娠4ヶ月以上で出産することです。
また、直接支払制度を利用することで、事前に出産費用の全てを準備する必要がなくなるため、負担を軽減できます。出産費用と出産育児一時金の差額は、被保険者または被扶養者に支払われます。
しかしながら、出産育児一時金を利用しても出産費用との差額がマイナスになる場合もあります。厚生労働省保険局が公表した「出産費用の状況等について」によると、全国平均妊婦負担額は57万4583円となっています。
また、平均妊婦負担額が最も高い東京都では72万3462円となっており、出産育児一時金を利用しても20万円以上の貯蓄が事前に必要となります。さらに、全国で出産費用が出産育児一時金を超過した割合が80パーセントであったということも、同調査によって明らかにされています。
出産費用の公的医療保険適用が検討されている
現状、正常分娩は保険適用外であり、全額自己負担となっています。しかし、政府はこども未来戦略方針の中で、2026年度を目途に出産費用の保険適用を含め、出産に関する支援の強化について検討を進めると明らかにしました。国としても、出産費用への支援を強化する方針であることが示唆されています。
まとめ
出産費用は年々増加傾向にあり、出産育児一時金制度を利用したとしても自己負担が発生するおそれがあります。そのため、出産には20万円以上の貯蓄が必要となるかもしれません。政府には出産費用の負担を軽減できる支援が期待されます。
出典
厚生労働省保険局 出産費用の状況等について
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
