更新日: 2019.06.18 その他暮らし
「シニア起業」を始める前に。知っておきたい返済不要の助成金や補助金の探し方
しかし、いきおいだけで起業してしまい、失敗したり、ジリ貧になったりして長続きせずに終わる人も、これまた少なくありません。しかも、退職金や貯金に手をつけてしまい、使い込んでしまって老後の生活設計が真っ暗になってしまうというひどい例も聞きます。
何か事業を始めようとするとき、やはり多少の出費は必要です。現在、行政や日本政策金融公庫などは起業希望者を支援する「低利の融資」を行う体制をとっています。
しかし……。「融資」ということは基本的に「借りたお金」つまり借金です。いずれ返さなくてはならないお金です。まず「融資」を申請する前に、もちろん自分の退職金に手をつける前に、「助成金」や「補助金」を探してみてはいかがでしょうか?
このふたつは借金ではありません。「返さなくてもよい資金」です。
執筆者:藤木俊明(ふじき としあき)
副業評論家
明治大学リバティアカデミー講師
ビジネスコンテンツ制作の有限会社ガーデンシティ・プランニングを28年間経営。その実績から明治大学リバティアカデミーでライティングの講師をつとめています。7年前から「ローリスク独立」の執筆活動をはじめ、副業・起業関連の記事を夕刊フジ、東洋経済などに寄稿しています。副業解禁時代を迎え、「収入の多角化」こそほんとうの働き方改革だと考えています。
まず「助成金」や「補助金」を検討してみよう
「助成金」も「補助金」も、ほとんど同じような意味合いで使われていますが、「助成金」は申請の要件を満たせばほぼ受け取れ、「補助金」は申請要件を満たしても場合によって受け取れないことがあるようです。
ただ、どちらにしても、採択(申請が通り受け取れることになること)されるためには、さまざまな要件を満たさなくてはなりませんし、申請書類もたくさん書かなくてはいけません。
しかし、申請書類を書きながら、自分のやりたい事業の内容をブラッシュアップできるという利点はあります。通るか通らないかは別にして、申請することじたいに意味があるといえます。
東京都中小企業振興公社の創業助成金に注目
一例として、東京都の『創業助成金(東京都中小企業振興公社)』の事例を見てみましょう。下記のように紹介されています。
■対象事業
創業のモデルケースの発掘や事例の発信等により、都内での創業に挑戦する機運の醸成につながる事業
■対象者
都内での創業を予定されている方または創業して5年未満の中小企業者等のうち一定の要件(※)を満たす方
※「TOKYO創業ステーションの事業計画書策定支援修了者」「東京都制度融資(創業)利用者」「都内の公的創業支援施設入居者」等
■助成対象期間
交付決定日から1年以上2年以下
■助成限度額
上限額300万円 下限額100万円
■助成率
助成対象と認められる経費の2/3以内
※要は最大200万円が助成されます。
■助成対象経費(経費として認められるもの)
従業員人件費、賃借料、専門家謝金、産業財産権出願・導入費、広告費、備品費
申請して助成金を受けるのはそうかんたんなことではありません。詳細は、東京都、とくに東京創業ステーション(東京都中小企業振興公社)に問い合わせるといいでしょう。
助成金、補助金の探し方は?
「東京以外の地方で起業したい人は何を探せばいいの?」「探し方がわからない」という声もあると思います。「助成金」「補助金」の情報はなかなか探しにくいものです。
自分が住む地方自治体が独自に起業者へ「助成金」「補助金」の制度を設けていることもありますので、ホームページを見てみましょう。
ただし、地方自治体のホームページというのは、意外と情報が見づらく、探しにくいことが多いので、直接行って、「起業・創業の窓口はどこですか」と聞いた方が意外と早いかも知れません。
そして、もうひとつは「J-Net21」という中小機構(独立行政法人中小企業基盤整備機構)のサイトで探す方法です。
J-Net21トップページから『支援情報(資金・セミナー)を探す』→『補助金・助成金を検索する』へと進むと、地域や目的によって「助成金」「補助金」を検索することができます。ちなみに、4月16日現在“5402件の補助金・助成金・公募情報が該当しました”と検索結果が表示されます。
もうひとつ。この『補助金・助成金を検索する』の『支援制度を選択』から『ビジネスプラン募集・表彰』を選ぶと、各地のビジネスプランコンテストの募集が表示されます。
そういったコンテストに事業プランを出して、入賞すると賞金や施設の無料使用等の便益が得られます。そういったものにチャレンジするのもいいのではないでしょうか。
まとめ
いずれにせよ採択までの道のりはきびしいですが、何となく自分の資金を投入して無計画に事業を始めるより、こういった「助成金」「補助金」またはビジネスプランコンテストの活用・参加を考えて、その過程で、専門家のアドバイスを受けるのが比較的手堅いシニア起業への道ではないでしょうか。
出典
※創業助成金(東京都中小企業振興公社)
※※J-Net21ビジネス中小企業支援サイト
執筆者:藤木俊明(ふじき としあき)
副業評論家