高校3年の息子がいます。進学後は「奨学金」を借りる予定ですが、「借金」だと思うと不安です…今の大学生は、どれくらいの割合で利用しているのでしょうか?
本記事では、現在の大学生の奨学金利用率や、返済負担の実情、制度の特徴についてわかりやすく解説します。
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奨学金は「借金」? まずは基本を押さえよう
奨学金とは、経済的な理由で学費の支払いが難しい学生に対して、進学の機会を確保するために提供される支援制度です。大きく分けると「返済不要の給付型」と、「返済が必要な貸与型」があります。
給付型は、家庭の収入や成績などの要件を満たした場合に、返済なしで支援を受けられる制度です。一方、貸与型は、貸与終了月の翌月から起算して7ヶ月目から分割返済が始まり、「第一種(無利子)」と「第二種(有利子)」の2種類に分類されます。
「借金」と聞くと不安を覚えるのも当然ですが、奨学金は一般のローンと異なり、金利が低く、返済もすぐには始まらず、7ヶ月後から開始されるなど、学生への配慮がなされています。
実際にどれくらいの学生が利用しているのか
日本学生支援機構「令和4年度学生生活調査」によれば、現在の大学生の55%が何らかの奨学金を利用しています。つまり、大学生の2人に1人以上が、奨学金を通じて進学費用をまかなっているという現実があります。
特に私立大学や、地方から都市部への進学を選ぶ学生にとって、奨学金は欠かせない制度となっています。また、家計の急変などで在学中に申し込むケースもあり、家庭の経済状況に応じて柔軟に対応できる点も特長です。
奨学金の返済はどれくらい大変なの?
では、実際に奨学金を借りた場合、返済はどのように行われるのでしょうか。
労働者福祉中央協議会が2024年に実施した「高等教育費や奨学金負担に関するアンケート」によると、貸与型奨学金の借入総額は、平均344万9000円(中央値312万1000円)とのことです。
また、労働者福祉中央協議会の2022年に実施した同アンケートでは、毎月の返済は平均1万5226円で、返済期間は平均14.5年とされています。
返済に不安を感じる場合は、以下のような制度を活用することで負担を軽減できます。
・所得連動返還型制度:収入に応じて毎月の返済額が変動する制度です。ただし、第一種奨学金が対象です。
・返還免除制度:死亡や重度の障害など、特定の条件で一部または全額の返済が免除されます。また、大学院第一種奨学金が対象で、特に優れた業績を上げた場合も、半額または全額が免除されます。
・繰上返還:余裕があるときに早めに返済することで、利息の軽減が可能です。
また、奨学金は社会的にも「教育への投資」として認識されており、雇用主が奨学金返還を支援する企業も増えています。
まとめ:奨学金は将来への投資、正しく知って安心を
奨学金は、確かに「借金」の側面もありますが、それ以上に「将来への投資」という意味合いを持つ制度です。大学で学んだことを活かし、社会で自立していくための土台を築くための支援と捉えることが大切です。
今の大学生の半数以上が利用している現実を踏まえれば、決して特別な選択ではありません。大切なのは、制度の仕組みをしっかり理解し、自分たちの家庭に合った計画を立てることです。
ご家庭でよく話し合い、学校の奨学金相談窓口なども活用しながら、安心して進学を迎えられるよう備えていきましょう。
出典
独立行政法人日本学生支援機構 奨学金の返還はいつから始まりますか。
独立行政法人日本学生支援機構 令和4年度学生生活調査報告
労働者福祉中央協議会 高等教育費や奨学金負担に関するアンケート報告書(2024年6月実施)
労働者福祉中央協議会 高等教育費や奨学金負担に関するアンケート報告書(2022年9月実施)
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
