【小1の壁】「学童代+時短勤務」で年間約80万円の損失!? 小1の壁が家計に与える意外なダメージとは
そこで本記事では、小1の壁とはどのようなものかや小1の壁がもたらす金銭的ダメージの例を解説するとともに、夫婦の働き方による収入や貯蓄に関する統計データを紹介します。
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目次
共働き世帯がぶつかりがちな「小1の壁」とは
「小1の壁」とは、子どもが小学校に入学したことを機に、生活リズムが変わったり親が対応しなければならないことが増えたりすることで、従来どおりの働き方が困難になりがちなことを指す言葉です。小1の壁の要因には、主に次のようなものがあります。
・保育園時代と比べて登校時間が遅くなる/下校時間が早くなる
・毎日の宿題や持ち物の準備、提出物への対応への負担が大きくなる
・長期休暇の日中の育児が必要になる
・参観日やPTAなど学校の活動への参加が必要になる
とくに共働きの家庭の場合、これまで保育園に預けていた時間帯に子どもの面倒を見るには、親も生活リズムを変える必要があります。
両親のいずれか、もしくは両方が働き方を変えざるを得ないケースも珍しくありません。また、体力的にも時間的にも仕事と育児の両立が厳しくなり、両親のいずれかが仕事を辞めるパターンも見られます。
「小1の壁」による金銭的なダメージも無視できない
「小1の壁」がもたらす金銭的なダメージも無視できない問題です。働き方を大きく変えずに「小1の壁」を乗り越えるには、少なくとも放課後に子どもを預けられる受け入れ先を確保する必要があります。
多くの場合「放課後児童クラブ」などの学童保育施設を活用することになるでしょう。しかし、無事に学童保育に入れたとしても、今度は大きな金銭的負担が発生します。
こども家庭庁「令和5年 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況 (令和5年5月1日現在)」によると、放課後児童クラブにおける月額利用料は、おやつ代のみ徴収する施設から2万円以上の施設まで幅があり、最も多いのは4000~6000円未満の施設です。
月額5000円の施設に通う場合、1年間で6万円の負担が発生します。月額2万円の施設に通うことになれば、負担額は24万円にもなるのです。
助成制度を設けている自治体もありますが、生活保護受給世帯や住民税非課税世帯など経済的に困難な家庭を対象としているケースが多く、共働きで十分な収入がある家庭の場合は利用できない可能性が高いでしょう。
また、子どもの生活リズムに合わせて時短勤務などを選択しなければならなかった場合も、家計への影響は小さくありません。
例えば、令和5年の女性の平均給与である約316万円(※国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」より)の収入がある女性が、時短勤務を選択して給与が25%減少した場合、約79万円の損失です。
場合によっては、学童の費用と合わせて100万円近い損失になる可能性もあります。
共働き世帯と専業主婦世帯の平均年収や平均貯蓄額の実態は?
小1の壁に対応するために仕事を辞めるのは、収入面で不安があるという人が多いのではないでしょうか。そこで、参考として夫婦共働き家庭と、片働き家庭の収入額や貯蓄額の実態を比較してみましょう。
総務省「2024年 家計調査」の結果によると、夫婦と未婚の子ども1人の世帯の場合、共働き家庭の年間収入が863万円、夫のみが働いている家庭の年間収入が727万円と、共働き家庭のほうが約140万円多い結果です。
しかし、平均貯蓄額を見ると、共働き家庭の1504万円、夫のみが働いている家庭が1546万円と逆転しています。この結果を見ると、共働き家庭が経済面で必ずしも勝っているとはいえないでしょう。
とはいえ、一度仕事を辞めると、再度キャリアを築くことが難しくなるといったデメリットも考えられます。家庭の状況に合わせて、どのようにワークライフバランスを取るかをよく検討しましょう。
「小1の壁」の実態を知って対策を取ろう
子どもが小学校に入学するタイミングで「小1の壁」にぶつかり、働き方の選択に悩む家庭は少なくありません。
小1の壁の実態を知り、放課後児童クラブなどの施設を利用する場合や時短勤務を選択する場合の経済的負担、仕事を辞めて得られるメリット、家計の見通しなどを十分に検討して、家庭の状況に合った対策を取りましょう。
出典
こども家庭庁 令和5年 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況(令和5年5月1日現在)
国税庁 令和5年分 民間給与実態統計調査
総務省 家計調査 / 貯蓄・負債編 二人以上の世帯 詳細結果表
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
