高速で「逆走車」を避けたら、他の車と衝突してしまった! その場合“補償・責任”は誰が負う? 逆走の罰則もあわせて解説
本記事では、逆走車との事故における責任のほか、逆走した際の罰則や逆走への対処法などを解説します。
2級ファイナンシャルプランニング技能士
高速道路の逆走車と事故をしたらどうなる?
高速道路の逆走は、通常ありえないことです。そのため、逆走車と直接事故を起こしたら、基本的に逆走車が100%悪くなります。
ただし、場合によってはこちらにも落ち度が生じるケースもあります。例えば、逆走車が直線道路を低速で進んでいたため、通常であれば避けられたにもかかわらず、こちらが大幅に速度超過しており前方もよく見ていなかったために避けきれず事故を起こしたケースなどです。
逆走車を避けようとしてほかの車と衝突したら、衝突はしていないものの事故の原因となった逆走車の責任はどうなるのでしょうか。
こちらも高速道路の逆走がありえないことを考えると、逆走車を避けようとした行動が、刑法に規定された「緊急避難」に該当する可能性があります。
緊急避難とは、危機を避けるためにやむを得ずにした行為が、その行為の程度によっては罪にならないことがあるというものです。緊急避難が認められると、避けた車には責任は発生せず、逆走車が悪いことになります。
ただし、逆走車と直接事故を起こしたときと同様に、前方をよく見ていれば避ける暇があったなど、こちらの落ち度を判断された際は、ある程度の責任を負わなければならなくなるでしょう。
高速道路を逆走すると何の違反になる?
高速道路を逆走すると点数の高い違反になりそうな気がします。しかし、ただ逆走しただけでは意外なほど軽い違反にしかなりません。違反名は「通行区分違反」というかなり分かりにくい違反です。
道路交通法第17条第4項には「車は車道の中央から左側を走らなければならない」とされています。いわゆる「キープレフト」です。逆走をしていると本来走らなければならない道路の左側を走っていないので、この違反が適用されます。通行区分違反の反則金は普通車が9000円、二輪車が7000円、違反点数は2点です。
また、インターチェンジの出入口部分などには進入禁止の標識がありますが、ここを逆走した場合は「通行禁止違反」にもなります。こちらは反則金が普通車7000円、二輪車6000円、違反点数2点です。しかし、高速道路本線上には基本的に進入禁止の標識がないため、通行禁止ではなく通行区分違反で処理されることが多いでしょう。
高速道路の逆走車との事故を防ぐには
高速道路での逆走なんてあり得ないことだと思っている人もいるかもしれませんが、日本全国で見ると、おおむね2日に1回の割合で逆走が発生しています。したがって、いつ逆走車と出くわしてもおかしくはありません。
逆走車との事故を防ぐことは簡単ではありませんが、基本的な交通ルールを守ることが大切です。
例えば、スピードを出しすぎていたら逆走車の発見が遅れますし、スピードが出ていれば出ているほど衝突時の被害が大きくなります。また、先ほども説明したようにスピードの出し過ぎにより、事故の際にこちらにも一定の責任が生じる可能性もあります。安全運転を心がけることが、逆走車との事故を防ぐことにもつながっていくでしょう。
まとめ
高速道路での逆走は、全国でおおむね2日に1回発生しています。私たちもいつ、どこで逆走車に出くわすか分かりません。
逆走車との事故を防ぐ完璧な方法はありませんが、基本的な交通ルールを守ることで被害をできるだけ小さくでき、責任もより軽くなる可能性が高くなります。交通ルールを守った運転で、自らを守っていきましょう。
出典
e-Gov 法令検索 道路交通法
NEXCO東日本 高速道路における逆走の発生状況
執筆者 : 山根厚介
2級ファイナンシャルプランニング技能士
