「独身税」こと「子ども・子育て支援金」。実際「子育て世帯」にはどのような恩恵があるのでしょうか?
本記事では、子ども・子育て支援金の徴収金額や、子育て世帯が受けられる恩恵について解説します。
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令和8年度より「子ども・子育て支援金」の拠出がスタート
子ども・子育て支援金制度は、子育てを支援する「こども未来戦略」の財源を確保するための施策です。 急速に進む少子化や、将来的に予想される人口減少などへの対策として、令和8年度より支援金の徴収が始まります。
支援金は医療保険に上乗せされる形で、自動的に徴収されます。子どもを扶養しておらず、子育て支援の恩恵を受けない人からも徴収されるため「独身税」と呼ばれることもあるようです。「独身税」と聞くと誤解をしている人もいるようですが、子育て世帯からも徴収は行われるため「独身者のみに科される税金」ではありません。
実際の「加入者1人あたりの支援金額」はいくらくらい?
一人当たりの負担金額は、年度や加入している保険の種類、年収によって異なります。表1は、加入者一人当たりの負担見込み平均額の一覧です。
表1
| 加入保険 | 2026年 | 2027年 | 2028年 | |
|---|---|---|---|---|
| 被用者保険 | 協会けんぽ | 250円 | 350円 | 450円 |
| 健保組合 | 300円 | 400円 | 500円 | |
| 共済組合 | 350円 | 450円 | 600円 | |
| 国民健康保険 | 250円 | 300円 | 400円 | |
| 後期高齢者医療制度(75歳以上) | 200円 | 250円 | 350円 | |
出典:こども家庭庁「子ども・子育て支援金制度の創設」を参考に筆者作成
被用者保険とは、公務員や会社員の加入が義務付けられている保険です。その中でも主に中小企業に多い協会けんぽ、大企業に多い健保組合、公務員が加入する共済組合などに分類されます。
国民健康保険とは、被用者保険に加入していない自営業やフリーランスの人を対象としている保険です。市町村が運営するものの他にも、医療業界や建設業界など、同業者が集まって組織している国民健康保険(国保)組合などがあります。
企業規模の大きい健保組合や、共済組合は負担金額が大きい傾向です。
「子ども・子育て支援金」によって「子育て世帯」が受けられる恩恵
前述のこども未来戦略では、子育て支援に関するさまざまな施策を打ち出しています。以下は、具体的に受けられる恩恵の一例です。
・児童手当の拡充
児童手当を受給できる児童の対象年齢が高校生までに引き上げられ、世帯の所得制限がなくなります。これにより、すべての子どもを扶養する世帯が児童手当を受け取ることが可能になります。
・出産・育児への支援金増額
2023年4月に、出産育児一時金の金額が42万円から50万円に変更されました。
・出生・育児休暇の取得推進
女性だけでなく、男性の育児休暇取得も推進されています。一部の企業においては、育児休暇を取得するとインセンティブが支給されるようになりました。
・育休期間の保険料免除
3歳未満の子どもを持つ人が育児休暇を取得する際、手続きを行うと社会保険料が免除されます。
・育児時短就業給付
2歳未満の子どもを養育するために就業時間を短縮して働く場合、給付金を受け取ることができます。支給金額は、限度額(45万9000円)から支払われた賃金を引いた金額です。
このように、子どもを扶養する人から子ども本人の自立まで、幅広い支援を掲げています。
まとめ
子ども・子育て支援金は社会全体で子育てを支援していく制度です。具体的な恩恵としては、出産・育児への支援金、児童手当の対象拡充、育児休暇取得の推進、社会保険料の免除、時短就業への給付金などが挙げられます。俗称に惑わされず、未来を守るこどもたちのために制度に対する正しい知識を身に付けましょう。
出典
こども家庭庁 子ども・子育て支援金制度の創設(8ページ)
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
