家を建てて5年。いまだに「NHKの契約」をしていません。自主的に申告すると「未払い分」として「割増金」で請求されるのでしょうか?
今回は、放送法に基づくNHKの契約義務や受信料の支払いの仕組みをはじめ、「時効5年」のルールについて解説します。
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NHKの契約義務とは
放送法64条に基づき、NHKの放送を受信できるテレビを設置した場合にはNHKと受信契約を結ぶ義務が生じます。また、契約後は放送受信料を支払う義務も発生します。
反対に、NHKから受信料の請求書が届いたとしても、もし家にテレビやチューナー付きの機器が設置されていなければ、受信契約を結ぶ必要はありません。
支払い義務のない請求が届く理由については、例えば、以前にNHK契約して解約手続きが完了していない場合や、訪問員の説明による勘違いで契約してしまった場合等が考えられます。また、ワンセグ機能付きのスマートフォンやカーナビも受信設備とみなされるため、設置していれば契約義務が生じます。このような場合は、状況に応じて適切な対応しましょう。
未払い分はどう扱われるか
本章では、テレビを設置しているにもかかわらず、受信料を支払っていない場合に生じるリスクについて解説します。
2023年4月から施行された放送法の改正により、未契約者に対して「割増金制度」が導入されました。これは、正当な理由なく期限までに受信契約の申し込みをしなかった場合、受信料の2倍に相当する割増金が請求される制度です。
また、受信料の支払い義務を怠った場合、NHKが裁判所を通じて法的措置をとる可能性があります。
日本放送協会放送受信規約(NHK受信規約)の第5条では、テレビなどの受信機を設置した場合、その月の翌月から契約を解約する前月までの期間に相当する放送受信料を支払わなければならないことが定められています。実際に、NHKが未払い契約者に訴訟を起こし、テレビを設置した月までさかのぼって受信料の支払いを命じる判決が出た事例があります。
そのため、支払いが滞っている受信料については、原則として全額請求されることになります。ただし、契約者から時効の申し出があった場合には、特例として時効扱いの措置がとられます。以下で詳しく見てみましょう。
5年超えると時効の扱い
契約者から時効の申し出があった場合、未払い分のうち5年以上前の分については、免除の対象となります。
「時効を5年として取り扱う」という対応は、放送法やNHKの受信規約には明記されていませんが、民法166条に基づく「債権等の消滅時効」を考慮して、NHKが実務上行っている対応です。
ただし、テレビを所持しているにもかかわらず契約を結んでいない場合は、時効のカウントは契約成立時から始まるため、契約前の未払い分については時効の主張ができない可能性があります。
NHK受信料の支払い方法と金額
放送受信料を前払いする場合は、6ヶ月または12ヶ月の単位でまとめて支払うことが可能です。受信料の支払い方法は、以下のとおりです。
●口座振替は偶数月の26日に自動引き落としされる
●クレジットカード払いはNHKの公式サイトから登録手続きを行う
●金融機関、ゆうちょ銀行・コンビニ払いは振込用紙を使って支払う
●ネットバンキングやスマートフォン決済アプリで支払う
万が一、振込用紙を紛失した場合には再発行を依頼できます。また、支払期限が過ぎた振込用紙でも、窓口であれば使用することが可能です。
なお、放送受信料の金額は、契約の種類(地上契約、衛星契約、特別契約)により異なります。以下は、いずれも2ヶ月分の受信料です。
●地上契約(地上のみ):2200円(地上波放送のみを受信可能な場合)
●衛星契約(地上+衛星):3900円(BS放送も受信可能な場合)
●特別契約(自然の地形が原因の電波障害などで特別な契約が適用する場合):1720円
6ヶ月分または12ヶ月分を前払いする場合は、以下のように割安になりお得です。
●地上契約:6ヶ月前払額 6309円、12ヶ月前払額 1万2276円
●衛星契約:6ヶ月前払額 1万1186円、12ヶ月前払額 2万1765円
●特別契約:6ヶ月前払額 4934円、12ヶ月前払額 9599円
NHKの契約状況に合わせて対応しましょう
自宅にテレビなどの受信機を設置した時点で、NHKに対して受信料の支払い義務が発生します。
ただし、過去に未払いがある場合でも「時効5年の申し出(援用)」を行えば、支払期日から5年以上前の未払い分については支払い義務が消滅するケースがあります。なお、時効は自動的に成立するものではなく、必ず契約者からNHKに対して時効援用の意思表示が必要です。
ご自身のNHK契約状況を正しく把握して、必要に応じた対応と手続きをするよう心掛けましょう。
出典
日本放送協会 NHK よくある質問集
デジタル庁 e-GOV 法令検索 放送法 第三章 第六節受信料等(受信契約及び受信料)第六十四条
日本放送協会 NHK 受信料の窓口 NHK受信料の割増金制度について
デジタル庁 e-GOV 法令検索 民法 第三節消滅時効(債権等の消滅時効) 第百六十六条
日本放送協会 NHK 受信料の窓口 日本放送協会放送受信規約
日本放送協会 NHK 受信料の窓口 お支払いに関するQ&A
日本放送協会 NHK 受信料の窓口 NHKの料金
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
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