地方に住む友人が「高校無償化は関係ない」と言っていたけれど、年収制限は撤廃されたんじゃないの? 自治体による“上乗せ支援”について解説

配信日: 2025.07.13 更新日: 2025.09.26
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地方に住む友人が「高校無償化は関係ない」と言っていたけれど、年収制限は撤廃されたんじゃないの? 自治体による“上乗せ支援”について解説
「高校無償化」というキーワードは、最近ニュースなどでよく耳にするようになりました。義務教育である国公立の小中学校については、授業料が徴収されることはありませんが、高校は義務教育ではないため、保護者の金銭的負担が大きくなります。
 
そのため学齢期の子どもを持つ親にとって、「高校無償化」は非常に関心のある話題かもしれません。
 
しかし、「高校無償化」についてはこれまでさまざまな変遷があり、現在議論されている点もあります。一体、誰がどのような恩恵を受けるのか気になることもあるでしょう。
 
この記事では、「高校無償化」の概要と今後の展開について解説します。
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「高校無償化」に関するこれまでの動き

高校授業料無償化について、最初の動きがあったのは2010年です。同年4月1日から施行された「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律」によって、原則として、公立の高校の授業料はかからなくなりました。
 
一方、私立の高校については「高等学校等就学支援金」の支給制度が誕生し、所得に応じて一定額の11万8800円(低所得世帯はその1.5~2倍の額)の支給が開始されています。
 
しかし2014年に制度改正が実施された結果、国公私立問わず、所得制限が組み込まれることになります。これにより、「市町村民税所得割額」が30万4200円(年収910万円程度)未満の世帯を対象に、「就学支援金」が支給されるようになりました(それ以上の収入がある世帯については授業料を負担)。
 
また、私立高校生などについては、市町村民税所得割額によって加算額が1.5~2.5倍になることが定められたのです。
 
その後、2020年4月からは、私立高校などに通う生徒について支援が手厚くなり、年収約590万円未満の世帯を対象に、支給額が最大39万6000円に引き上げられています。
 
このように「高校無償化」をめぐって、これまでさまざまな取り組みが行われてきました。
 

所得制限の一部は2025年度に事実上撤廃される

文部科学省によれば、2025年2月25日の「自由民主党、公明党、日本維新の会の3党合意」により、「高校無償化」が進展しました。
 
所得制限の一部は事実上撤廃されることになり、2025年度は国公私立問わず、年収約910万円以上の世帯も11万8800円が支給されることになります。
 
そして、2026年度以降についても、所得制限の撤廃や私立高校などに通う生徒への加算額の引き上げも別途検討中とのことです。
 

「高校無償化」に関する注意点

「高校無償化」という表現だけを聞くと、高校に通うための費用がすべて無料になると誤解されがちですが、実際にはそうではありません。
 
負担軽減の対象となるのは授業料であり、制服代や通学費用などは支援の対象外です。入学金や修学旅行費用なども発生します。
 
また、私立高校は授業料が高額な学校もあり、支援額との差額が発生する場合もあるでしょう。そのため、世帯によっては「高校無償化」は完全に無償ではなく、「負担軽減化」にとどまる可能性もあります。
 

自治体によって上乗せ支援がある

国が打ち出している指針は全国で適用されるため、地方に住む友人の世帯も関係します。そのため、「高校無償化は関係ない」という発言は、自治体による別枠の支援制度を指しているのかもしれません。
 
自治体によって支援の有無や幅は異なります。例えば、東京都には「私立高等学校等授業料軽減助成金事業」という取り組みがあり、所得制限なしに私立高校などの授業料支援が受けられます。
 
一方、そのような独自支援がない自治体の場合、ほかの自治体と比較してサポートが薄れてしまうでしょう。しかし、国の支援は受けられるため、高校無償化がまったく関係ないわけではありません。
 

「高校無償化」の所得制限の一部は事実上撤廃されている|2026年度以降の支援も別途検討中

2025年度からは、所得制限の一部が事実上撤廃され、国公私立ともに11万8800円までの支援を受けられます。また、私立高校の生徒については、世帯の年収によって加算額を受けられます。そして、2026年度以降の所得制限撤廃や私立高校などの加算額引き上げは別途検討中とのことです。
 
自治体によって独自の上乗せ支援策を講じているところもあります。いずれにしても、支援額によって、すべての高校の授業料がまかなわれるとは限りません。加えて、授業料以外の出費は発生するため、「高校無償化」を拡大解釈しないよう注意が必要です。
 

出典

文部科学省 高校生等への修学支援(3ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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