突然の事故で夫が「無収入」に…。子ども1人、「月8万円」のパート収入だけでは生活が苦しいです。生活保護は受けられるのでしょうか?

配信日: 2025.07.14 更新日: 2025.09.26
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突然の事故で夫が「無収入」に…。子ども1人、「月8万円」のパート収入だけでは生活が苦しいです。生活保護は受けられるのでしょうか?
収入が限られている中で家族を支えるのは、精神的にも経済的にも大きな負担です。特に、突然の事情によって世帯の主な収入源が絶たれてしまった場合、日々の生活をどう維持していくかは切実な問題になります。
 
そうした状況で頼れる制度の一つが「生活保護」です。ただし、働いている人でも対象になるのか、子どもがいる家庭の場合にどのような支援が受けられるのかなど、不安や疑問を抱く方もいるでしょう。
 
本記事では、夫が無収入・パート収入のみという家庭が生活保護を受けられるのかどうか、受給の条件や手続きの流れをわかりやすく解説します。
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夫が無収入、家計が苦しい……生活保護の対象となるのはどんな場合?

突然の事情で家族の収入が激減すると、家賃や食費、子どもの教育費など、日々の出費が大きな負担になります。
 
特に、夫が働けなくなり、月8万円のパート収入だけで子育てと家計を担う状況では、生活が成り立たないというのが現実でしょう。
 
こうしたとき、頼りにできる制度の一つが生活保護です。生活保護は、「健康で文化的な最低限度の生活を保障する」ための制度であり、どんな人が対象になるのかは、さまざまな条件をもとに総合的に判断されます。
 
まず知っておきたいのが、「世帯単位」での判断であるということです。つまり、家族全体の収入や資産を合わせて、国が定める「最低生活費」を下回っているかどうかが、受給の可否を左右します。
 
収入が少ないだけではなく、貯金や使っていない資産があれば、それらを生活費に充てるよう求められます。また、働ける人は働く努力をする必要がありますが、病気や事故で働けないと判断されれば、その限りではありません。
 
さらに、親や兄弟姉妹といった「扶養義務者」から援助が受けられる場合は、その援助も優先されます。ただし、実際には援助が困難であることが確認されれば、それを理由に生活保護が受けられないというわけではありません。
 

生活保護の受給には「最低生活費」との比較がカギ

では、「最低生活費」とはどう決まるのでしょうか?これは以下のような要素で決まります。


・世帯の人数(年齢も考慮)
・居住地(都市部と地方では基準が異なる)
・家賃などの住宅費

厚生労働省の「生活保護制度に関するQ&A」によると、たとえば、33歳・29歳・4歳の3人家族の場合、東京都区部等だと16万4860円、地方郡部等であれば14万5870円が最低生活費とされています(令和5年10月1日現在)。
 
そこに対して収入が月8万円だけであれば、約6万6000円~8万5000円分が生活保護として支給される可能性があります。また、令和7年10月から令和8年度にかけて、特例加算として1人あたり月1500円が上乗せされます。
 
「収入が少しでもあれば受けられない」と思っている方も多いですが、これは誤解です。生活保護は「全くの無収入の人」だけの制度ではありません。
 

申請から支給までの流れと注意点を知っておこう

生活保護の申請は、お住まいの市区町村の福祉事務所で行います。基本的な流れは次のとおりです。


1.まずは福祉事務所に相談
2.必要書類の提出(本人確認書類、収入証明、家計状況の資料など)

※特別な事情があれば、書類がなくても申請することは可能です。
3.職員による家庭訪問・実態調査
4.審査(原則14日以内、調査に時間を要する場合は最長30日)
5.受給の決定・支給開始

注意点としては、「資産があるかどうか」もチェックされる点です。とはいえ、すべての資産を失っていなければならないわけではなく、最低限の生活を送るための持ち物は認められます。
 
家電や生活必需品などは一定の条件下で保有が認められます。また、自家用車は原則処分が求められますが、通院に必要な場合など条件によっては保有が認められることがあります。
 
また、収入や状況に変化があった場合は必ず報告が必要です。申告せずに支給を受け続けると、不正受給とみなされて返還義務が発生する場合もあります。
 

生活保護は「恥ずかしい制度」ではなく「再スタートの手段」

生活保護というと「恥ずかしい」「世間体が悪い」といったイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし、生活保護は法律で定められた正当な権利です。
 
事故や病気、失業といった予期せぬ事態は、誰にでも起こりうることです。そうしたときに一時的に制度を利用し、生活を立て直すことで、再び自立への道を歩むことができます。
 
まずは、ひとりで悩まず、福祉事務所や地域の相談窓口へ足を運んでみてください。あなたの生活再建をサポートする制度が、きっと見つかるはずです。
 

出典

厚生労働省 生活保護制度
厚生労働省 生活保護制度に関するQ&A
厚生労働省 保護課 社会・援護局関係主管課長会議資料 令和7年3月
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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