「紙巻きたばこ」vs「加熱式たばこ」最近の“利用率”はどちらが人気? それぞれの税率もあわせて比較
本記事では、最新データをもとに、それぞれの特徴や利用比率、税金の差異について分かりやすく解説します。
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紙巻きたばこと加熱式たばこの違い
紙巻きたばこは、火をつけてたばこ葉を燃やし、その煙を吸うという従来の喫煙スタイルです。一方、加熱式たばこは、葉を燃やさずに専用の機器で加熱し、蒸気を吸引する仕組みです。構造以外にも成分などの違いがあります。
含まれる発がん性物質の量
厚生労働省が公表している調査結果によると、加熱式たばこの主流煙に含まれる主要な発がん性物質は、紙巻きたばこより少ないことが確認されています。ただし、ニコチンについては紙巻たばこと同程度を含む製品もあるため、健康リスクが紙たばこよりも軽いとは一概に言えません。
副流煙の影響
紙巻きたばこは、着火後、喫煙していない間も煙を出し続けますが、加熱式たばこは、喫煙時のみ蒸気を発生させるという特性があります。そのため、室内環境におけるニコチン濃度は、加熱式たばこのほうが低くなる傾向が見られます。
製品価格
加熱式たばこを利用する際には、専用機器が必要となります。そのため初期費用や定期的な充電の手間、そして機器自体の故障リスクがあります。一方、たばこの価格は、ほぼ同価格帯で設定されていることが多いでしょう。
実際の利用比率はどちらが多い?
加熱式たばこが登場し普及したことで、喫煙者のたばこ利用の仕方が多様化し、喫煙する人の割合や、利用するたばこの種類も変化しています。
喫煙者数の減少
厚生労働省が発表した「令和5年国民健康・栄養調査結果の概要」によると、日本の喫煙率は男性が25.6%、女性が6.9%でした。過去10年間で見ると、男女ともに喫煙者の割合は減少傾向が続いています。
紙巻きたばこと加熱式たばこの利用比率
上記の同調査によると、実際の利用比率は、以下のとおりです。
●紙巻きたばこのみ利用:男性60.5%、女性56.2%
●加熱式たばこのみ利用:男性29.2%、女性35.3%
●両方利用:男性9.2%、女性7.0%
加熱式たばこが普及してきているのは事実ですが、実際の利用率を見ると、紙巻きたばこの利用率のほうが高いことが分かります。ただし、年代別でみると、若年層では加熱式たばこのほうが利用率は高く、高齢層では紙巻きたばこの利用率が高いという傾向もあります。
税率は違うの?
紙巻きたばこと加熱式たばこは税金の計算方法が異なります。
紙巻きたばこの税率
紙巻きたばこは、1本ごとにたばこ税がかかる仕組みです。財務省の資料によると、令和6年4月現在の代表的な紙巻きたばこ1箱(20本入、580円)の場合、約304円がたばこ税となっています。販売価格に占める税負担割合が、約52.6%と非常に高い水準です。
加熱式たばこの税率
加熱式たばこは、燃やすのではなく加熱するという特性から、たばこ葉の重量と価格を組み合わせた課税方式が採られています。この違いにより、同じような量でも加熱式たばこのほうが販売価格は安くなる傾向があります。
しかし、こうした税の差を見直す動きがすでに始まっています。加熱式たばこの普及とともに、紙巻きとの税率格差が問題視され、2018年から段階的な増税が実施されています。最終的には、税率を紙巻きたばことほぼ同等にそろえる方向です。
つまり、加熱式たばこが紙巻きたばこより安いという考え方も、将来的には変わっていく可能性があるでしょう。
まとめ
紙巻きたばこは依然として主流ですが、加熱式たばこの利用は広がり続けています。加熱式たばこは、一部の有害物質が少ないとされていますが、ニコチンの量は紙巻きたばこと同じくらいのものもあります。そのため、健康へのリスクが「全くない」とは言い切れません。
たばこの種類によって税金に違いがありますが、今後はその差が小さくなっていくでしょう。今後は、価格だけでなく、自身の健康やライフスタイルに合わせて、どのたばこを選ぶか慎重に考えることが大切でしょう。
出典
厚生労働省 健康増進法の一部を改正する法律案参考資料
厚生労働省 令和5年国民健康・栄養調査結果の概要
財務省 身近な税 たばこにはどれくらいの税金がかかっているのですか?
執筆者 : 渡邉志帆
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