2024年、米の「平均価格」は前年から「30%値上がり」。でも「米農家の倒産・休廃業解散件数」は過去最多42件……米価が上がれば収入も増えるんじゃないの?

配信日: 2025.07.15 更新日: 2025.09.26
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2024年、米の「平均価格」は前年から「30%値上がり」。でも「米農家の倒産・休廃業解散件数」は過去最多42件……米価が上がれば収入も増えるんじゃないの?
私たちの生活に欠かせない米の価格が大きく変動しています。
 
米を買うたびに高くなったと感じることがある人もいるでしょう。一方で、2024年に倒産・休業・廃業した米農家は過去最多に上ります。米の価格が上昇しても米農家にはうまく還元されず、米農家を取り巻く状況は一段と厳しさを増しているようです。
 
そこで今回は、米の価格高騰にもかかわらず米農家の廃業や倒産が増えている背景について、2023年と2024年の米の平均価格を交えながら解説していきます。
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米の平均価格

総務省統計局の小売物価統計調査(動向編)によると、東京都23区の2023年におけるコシヒカリ5キロあたりの平均価格は2323円、2024年は2951円でした。1年でおよそ30%値上がりしたことになります。
 
2024年は1月から6月までは2400~2500円を推移していましたが、7月には2683円、8月には2871円と徐々に上昇傾向に転じました。
 
9月以降は、コシヒカリの平均価格はさらに上昇し、その価格推移は次の通りです。

・9月:3285円
 
・10月:3787円
 
・11月:3985円
 
・12月:4018円

2024年1月に比べると同年12月の価格は約1.6倍も上昇していることが分かります。
 

米農家の現状

米の価格高騰が止まらない一方で、米農家を取り巻く現状は厳しさが増すばかりです。
 
帝国データバンクの「【米作農業】の倒産・休廃業解散動向(2024年)」によると、2024年の米農家の倒産・休業・廃業は過去最多の42件でした。さらにその内訳を見ていくと、42件のうち倒産したのは6件で、残りの36件は農家自らの判断による休業・廃業です。
 
また同調査における米農家の業績を見ると、2023年度赤字だったのは全体の25.8%、減益は29.4%、赤字と減益を合わせた数値は55.2%でした。つまり、半数以上の米農家の経営が悪化していたことが分かります。
 

米の価格高騰が続いても米農家の経営が厳しい理由

これまで米農家では、できた米を直接お客さんに売るのではなく仲介業者を通して販売しているケースもありました。仲介業者を通して販売することで、できた米を全て買い取ってもらえるといったメリットがある一方で、中間マージンが取られたり、買取価格を農家側で決められずに利益が出にくかったりといったデメリットもあったようです。
 
さらに、昨今の物価高も米の生産に必要な肥料などのコスト負担の増加につながっているでしょう。米の価格が高騰しているのには、ほかにも次のような要因が考えられるようです。

・利益が出ないにもかかわらず物価高で生産コストが増えていること
 
・利益が出ないため米を作る際に必要な苗やトラクターなどの資材調達が難しいこと

このようにさまざまな要因が相まって、米の価格が高騰しているにもかかわらず米農家の経営が厳しくなっているのかもしれません。
 

昨今の厳しい状況の中で自主廃業をする米農家が増えている

米の販売価格の平均は2023年から2024年で約30%もの値上がりをしていることが分かりました。しかし、米の販売価格の高騰が米農家の利益に反映しているわけではなく、むしろ2024年に倒産・廃業・休業をした米農家の件数は過去最多でした。
 
これには、仲介業者を通して販売を行うことで中間マージンがかかったり、取引価格を農家側で決められなかったりなどの理由が影響していると考えられます。
 
また、肥料や資材の調達においても物価高は大きく影響しているようです。生産者の高齢化や後継者問題など米農家を取り巻く状況は厳しさを増しています。
 

出典

帝国データバンク 「米作農業」の倒産・休廃業解散動向(2024年)
総務省統計局 政府統計の総合窓口(e-Stat)小売物価統計調査(動向編)第1表 調査品目の月別価格及び年平均価格【都道府県庁所在市及び人口15万以上の市】 【01】「1001 うるち米」 ~ 「1090 シリアル」
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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