高校生の息子が「交通費は全額支給!」のバイトを始めました。しかし「定期のある期間中は交通費を出せない」と言われたそうですが、請求できないのでしょうか?
この記事では、交通費支給のルールや、通学定期券との関係、企業側の対応が妥当かどうかの判断基準、さらには納得いかない場合の対処法まで解説します。
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目次
「交通費全額支給」でも定期区間は対象外?その理由とは
アルバイトの求人情報に「交通費全額支給」と書かれていても、それが「どこからどこまでの交通費」なのかが重要です。多くの企業では、「自己負担していない区間に限って」交通費を支給するという方針をとっています。
つまり、息子さんがすでに通学定期券で通っている区間は、すでに定期でカバーされている=自費で交通費を払っていないとみなされることがあるのです。これが「定期のある期間中は支給できません」と言われる背景です。
また、企業側も、通学定期券は本来通学目的にのみ利用が認められており、アルバイトの通勤目的で利用することは鉄道会社の規則上認められていないため、交通費を重複して支払わないようにしています。
定期券があると本当に交通費はもらえない? 企業の判断基準
厚生労働省が行った「令和2年就労条件総合調査」では、諸手当を支給している企業の中で通勤手当などを支給している企業は92.3%となっています。
しかし、「交通費支給」の方針は、法律で義務づけられているわけではなく、企業が自由に決めてよいものです。そのため、求人に「全額支給」と書いてあっても、実際には定期区間を除いた金額だったり、上限金額が設けられていたりするのが一般的です。
特に高校生の場合は「通学定期」を持っている前提で採用されていることが多いため、「通学区間内の交通費は支給しません」と事前にルール化されている企業もあります。
ただし、通学定期券の区間外から出勤している場合や、通学ルートとバイトの通勤ルートが異なる場合は、交通費の支給を求める根拠があります。
支給を断られたときに確認すべきポイントと交渉方法
息子さんが納得いかない場合は、まず次のことを確認しましょう。
●労働契約書や就業条件明示書に交通費の記載があるか?
●実際に通学定期の区間内だけでアルバイト先に行っているか?
●求人票に「定期区間を除く」などの注意書きがなかったか?
もし、「全額支給」と書かれていたにもかかわらず、定期区間も含めた金額で支給されていない場合は、まず労働契約書や求人票に定期区間除外の記載がないかを再確認し、そのうえで口頭ではなくメールなど証拠が残る方法で説明を求めるのがよいでしょう。
また、「交通費支給の考え方が不明瞭で、誤解していた。説明してもらえませんか」と穏やかに聞くことで、対応が変わる場合もあります。
納得できないときはどうする? 親として知っておきたい対処法
「定期があるから支給しない」と言われた場合でも、支給の取り決めが曖昧だったり、通勤ルートに実費が発生していたりすれば、交渉の余地があります。それでも納得できない場合は、以下のような方法を検討しましょう。
●ハローワーク(公共職業安定所)に相談する
●労働基準監督署に労働条件違反の可能性がないか確認する
●学校を通じて、企業に説明を求めてもらう(高校生バイトなら有効)
高校生のアルバイトは、働くことの第一歩です。無理に対立せず、ルールや条件を確認しながら、自分の立場を守る経験にすることも大切です。
支給されない交通費、泣き寝入りしないために知っておきたいこと
アルバイトにおける交通費の支給は、企業の規定や通勤経路、定期券の利用状況などによって異なります。通学定期券を持っている場合でも、アルバイト先への通勤がその区間外であれば、交通費の支給を求められる可能性があります。まずは、労働契約書や就業規則を確認し、企業と相談の上、適切な対応を検討してください。
出典
厚生労働省 令和2年就労条件総合調査の概要
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
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