【高校無償化】事務室に「無償化申請」の書類を提出しました。もし「対象外」になったら高校3年間でいくらかかるのでしょうか?
支援金を受けるには申請が必要ですが、申請をしても受給資格を認定されなければ、支援金を受けることはできません。
「認定を受けられなかった(「対象外」になった)場合、どうなるの?」と、疑問を持たれる方もいらっしゃると思います。本記事では、「高等学校等就学支援金制度の『対象外』とはどういうことか?」「高等学校等就学支援金制度の『対象外』になったらどうなるのか?」について解説します。
子どもが高校生・大学生の時期は、家計への影響も大きくなる時期です。教育費が気になっている方は、ぜひ最後までお読みください。
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー
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高等学校等就学支援金制度の「対象外」とはどういうことか?
高等学校等就学支援金制度を利用するには、「在学要件」と「所得要件」を満たす必要があります。「在学要件」とはこの制度の対象者(学生)に係る要件で、「所得要件」とは学生の保護者(両親)などの所得に関する要件です。
在学要件の内容は、「日本国内に在住し、高等学校などに在学する方が対象」というものです。この要件について、多くの方は心配する必要はないように思われます。
所得要件の内容は、「保護者などの所得が『保護者等の課税標準額(課税所得額)×6%-市町村民税の調整控除額 < 30万4200円』を満たす方が対象」というものです。この計算式からでは分かりにくいのですが、年収の目安をまとめると、図表1のようになります。
図表1
| 両親の働き方 | 子の人数 | 世帯年収の目安 |
|---|---|---|
| 両親のうち一方が働いている場合 | 子2人(高校生・高校生) | ~ 約950万円 |
| 子2人(大学生・高校生) | ~ 約960万円 | |
| 両親が共働きの場合 | 子2人(高校生・中学生) | ~ 約1030万円 |
| 子2人(高校生・高校生) | ~ 約1070万円 | |
| 子2人(大学生・高校生) | ~ 約1090万円 |
※文部科学省「高等学校等就学支援金・高校生等臨時支援金リーフレット」を基に筆者作成
この「在学要件」または「所得要件」を満たさない場合、高等学校等就学支援金制度の受給資格の認定がされず、「対象外」となります。
高等学校等就学支援金制度の「対象外」になったらどうなるのか?
高等学校等就学支援金制度の適用対象外となった場合、令和6年度までは、高等学校などの授業料は自己で負担する必要がありました。しかし、令和7年度においては、「収入要件」を満たさなかった方でも「高校生等臨時支援金」を受けることができます。
高校生等臨時支援金は、高等学校等就学支援金に申請した結果、年収が年収要件を超える世帯と判定された場合に、新たに支給されるというものです。
支給額(国公私立共通の基準額)という側面から見ても、高等学校等就学支援金と高校生等臨時支援金に差がない(ともに年額上限11万8800円)ことから、実質的には高等学校等就学支援金制度の所得要件を撤廃したものといえます。
したがって、令和7年度に限っていえば、高等学校等就学支援金について収入要件で「対象外」となる心配はなく、認定されるものとして資金計画を立てても差し支えないでしょう。
なお、令和8年度以降の「高校授業料の無償化(所得制限の撤廃や私立高校などの加算額の引き上げなどを含む)」については、別途検討されているようです。
ちなみに、高等学校等就学支援金や高校生等臨時支援金で無償化されるのは高校などの授業料のみです。その他発生する費用については自己負担となりますので注意が必要です。
言い方を変えれば、仮に「対象外」となった場合に負担が増えるのは、支給を受けられるはずだった授業料(年額上限11万8800円、月額上限9900円)の部分のみとなります。
まとめ
本記事では、「高等学校等就学支援金制度の『対象外』とはどういうことか?」「高等学校等就学支援金制度の『対象外』になったらどうなるのか?」について解説しました。結論をまとめると、以下のようになります。
・高等学校等就学支援金制度の「対象外」とは「在学要件」と「収入要件」を満たしていないということ
・高等学校等就学支援金制度の「対象外」になっても、令和7年度に限り、高校生等臨時支援金を受けることができる
つまり、令和7年度に限っていえば、高等学校等就学支援金制度の「収入要件」は撤廃されたと考えることができ、「在学要件」さえ満たしていれば、支援金を受けられるということです。
ただし、これらの支援金が支援してくれるのは高校などの授業料のみであり、その他の費用については負担しなければなりません。
また、注意しなければならないのは、支援金は申請しなければ支給されないということです。申請については学校から案内がありますので、入学の時期などの配布物には気を配っておく必要があります。
子どもが高校生・大学生の時期は、教育費が家計の大きな負担となります。あらかじめ資金計画を立て、大きな支出に備えることも大事ですが、支援金制度の利用のような実務的なことも知っておく必要があります。本記事がその一助となれば幸いです。
出典
文部科学省 高校生等への修学支援
文部科学省 高等学校等就学支援金・高校生等臨時支援金リーフレット
文部科学省 高等学校等就学支援金の申請手続きに係るリーフレット
執筆者 : 中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー
