明治神宮は初詣だけで「8億5800万円」のお賽銭が!? 一般的なお寺や神社の“運営費”は「お賽銭・お布施」だけでまかなえる? それぞれの収益モデルも確認
この記事では、お寺や神社の収益の内訳について解説します。また、お寺や神社が運営を続けるために、どのような工夫をしているかも取り上げます。
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お寺と神社の収益モデル
文化庁が実施している宗教統計調査(2024年)によると、現在日本国内にお寺は7万6551ヶ寺、神社は8万653社あります。以下で一般的な神社やお寺の収益モデルについて確認しましょう。
お寺の場合
お寺の主な収入源は、以下のとおりです。
・葬儀や法要に関連する収益
・墓地の永代使用料
・檀家さんからの寄付
ここからお寺の維持費や修繕費を捻出しますが、伝統的なお寺の場合、修繕費に数千万円単位のお金がかかるケースもあります。文化財に指定されていれば、修繕にあたって行政から助成金を出してもらえるケースもありますが、それでも膨大な額の費用を用意しなければなりません。
神社の場合
神社の主な収入源は、以下のとおりです。
・お賽銭
・祈祷/御朱印/お守り
・不動産活用
・祭りやイベントの収益
・クラウドファンディングや寄付
以上のうち、神社の収入源として最も身近なのはお賽銭でしょう。参拝者数日本一と言われる明治神宮の初詣の参拝者数は約300万人と言われています。
お賽銭の平均金額が286円(ソニー生命調べ)なので、仮に300万人がそれだけのお賽銭を入れるとすると、合計で8億5800万円です。例大祭などの時期には、多くの収入が生まれます。また、こうした知名度の高い神社では、結婚式などにより多額の収益につながることもあります。
一方、規模の小さい神社は参拝者も少ないため、お賽銭以外の収入源を確保して運営しています。大規模な修繕が必要な場合は、寄付を募るケースもあるでしょう。
お寺や神社が運営を続けるために行っている工夫
大規模かつ知名度の高いお寺や神社はともかく、それ以外の小規模なお寺や神社は運営を続けるために、以下のような工夫を行っています。
デジタル化による業務効率化
現在お寺や神社では、事務作業のデジタル化が進んでいます。デジタル化によって業務効率を向上させることで、残業代や人件費の削減が可能です。
また、最近では卒塔婆のデジタルプリンターなるものも登場しています。手書きや従来のスクリーン印刷と比較して、印刷にかかる時間と手間を大幅に削減できるほか、品質の均一性を保てる点が強みです。
地域との連携強化
近年は、地域コミュニティとの連携強化に取り組んでいる神社やお寺も多いです。座禅体験や写経体験、ヨガ教室などのイベントを積極的に開催し、交流の機会を増やすことで若い世代に神社やお寺を知ってもらい、新たな信者や檀家の獲得につなげています。
お賽銭やお布施だけで運営を続けられるのはごく一部
神社仏閣は文化や信仰、そしてコミュニティの拠点として、日本社会にとってかけがえのない存在です。しかし、お賽銭やお布施だけで運営を続けられる神社やお寺は、限られています。
持続可能な運営を目指すにあたって、今後はお賽銭やお布施のみならず、さまざまな工夫が求められるでしょう。
出典
文化庁 宗教統計調査
ソニー生命保険株式会社 47都道府県別 生活意識調査2019
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
