小中高大学の授業料が「実質無償」になる多子世帯。子ども3人世帯の「公立」「私立」で実際にかかる「教育費」はいくら違う?

配信日: 2025.07.19 更新日: 2025.09.26
この記事は約 3 分で読めます。
小中高大学の授業料が「実質無償」になる多子世帯。子ども3人世帯の「公立」「私立」で実際にかかる「教育費」はいくら違う?
子どもを3人以上扶養している世帯(多子世帯)において、高校や大学などの授業料といった教育にかかる費用は大きな経済的負担となるでしょう。しかし、多子世帯への支援制度拡充により、高等教育や大学などの授業料が実質無償になるかもしれません。
 
本記事では、国の修学支援制度の詳細や第1子の教育費にかかる実質負担額を解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

多子世帯は大学の「授業料・入学金」が無償に

文部科学省は、令和5年12月に閣議決定した「こども未来戦略」に基づき、令和7年度より高等教育の修学支援新制度拡充を決定しました。
 
今回の制度改正により、支援される金額は、授業料70万円・入学金26万円(支給ではなく、各学校の授業料などから減免される)を上限としています。この新制度は、現行の返還不要の給付型奨学金と授業料・入学金減免を合わせることで、高等教育費の実質的な経済的負担額を減らすというものです。
 
また、子どもを3人以上同時に扶養している間は授業料・入学金の所得制限が設けられていないため、年収の高い世帯など幅広い多子世帯が対象となるでしょう。新制度の拡充により、経済的な理由から進学を断念する事態を防止し、低所得世帯の学生が高等教育を受ける機会を増やすことで教育の公平性確保につながります。
 

高校の「授業料実質無償化」も進められている

高校生への修学支援制度として、令和7年度に限り「高校生等臨時支援金」が発足されました。この制度と現行の「高等学校等就学支援金」により、高等学校の授業料が実質無償化されます。新制度である高校生等臨時支援金は、年収約910万円以上世帯においても国公私立共通の基準額である11万8800円を上限として授業料などが減免される制度です。
 
高等学校等就学支援金では、年収約910万円未満世帯の高校授業料が支援され、国公立高校は11万8800円、私立高校は39万6000円を上限として授業料が減免されます。
 
なお、令和8年度以降に関しては就学支援金にかかる所得制限撤廃や、私立高校などの加算額の増額に関する検討を明示しています。
 

子ども3人世帯で実際にかかる「教育費」は?

続いて、一人当たりの教育費を試算してみましょう。文部科学省の調査によると、幼稚園から大学までの1年でかかる学習費総額の平均値は表1、表2の通りです。
 
表1

1年間の学習費総額
公立幼稚園 18万4646円
私立幼稚園 34万7338円
公立小学校 33万6265円
私立小学校 182万8112円
公立中学校 54万2475円
私立中学校 156万359円
公立高等学校(全日制) 59万7752円
私立高等学校(全日制) 103万283円

出典:文部科学省「令和5年度子供の学習費調査の結果を公表します」を基に筆者作成
 
表2

授業料 入学料 施設設備費 実験実習料 その他
国立大学 53万5800円 28万2000円
公立大学 53万6191円 37万4371円
私立大学 95万9205円 24万806円 16万5271円 2万8864円 8万3194円

※国公立大学は授業料に含まれる
 
出典:文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」「私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」を基に筆者作成
 
在学期間を幼稚園3年、小学校6年、中学校3年、高校3年、大学4年と仮定し、修学支援制度を適用して学習費を試算すると下記の金額になります。

・幼稚園から高校まで公立で国立大学の場合:587万8627円
 
・幼稚園から高校まで公立で公立大学の場合:597万0997円
 
・幼稚園から高校まで私立で私立大学の場合:2122万9442円

まとめ

年々、高校や大学などの修学にかかる国の支援制度は充実してきており、進学意志のある学生が家庭の経済状況に関わらず、公平に教育を受けられる時代になりつつあります。多子世帯の場合、教育費による家計の経済的負担は大きくなりますが、さまざまな支援制度を活用すれば軽減できるでしょう。
 

出典

文部科学省
 高等教育の修学支援新制度
 令和5年度子供の学習費調査の結果を公表します
 国公私立大学の授業料等の推移
 私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu

【PR】子どもの教育費はいくらかかるの?かんたん30秒でシミュレーション

【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問