「通勤定期券」の私的利用は問題ない? 休日に「通勤定期券」を使っても大丈夫でしょうか?
本記事では、通勤定期券の私的利用の違法性や通勤手当の不正受給に該当するパターン、通勤手当の法律上の扱いなどを解説します。
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通勤定期券の「私的利用」は一般的に問題ないと考えられる
通勤定期券の私的利用は、基本的に問題はないといわれています。通勤定期券は乗り降り自由であり、休日に利用しても追加費用は発生しないため、会社や組織の不利益になりません。
また、定期券の現物支給や定期代の現金支給の場合でも、賃金の一部として支給されているため、使途は本人の自由という考え方です。
「通勤定期券」という名称ではありますが、これは通勤以外の利用を制限しているわけではありません。そもそも会社や組織が私的利用を把握することも困難なため、不正として扱われることはないでしょう。
なお、国税庁によると、電車やバスなどの交通機関だけを利用して通勤している場合、通勤手当や通勤定期券などの金額は月15万円まで非課税です。ただし、これは最も通勤費を最小限に抑えつつ効率的で無駄のない通勤ルート・手段に限られます。
通勤手当の「不正受給」に該当する3つのパターン
通勤定期券の私的利用は問題ありませんが、以下のパターンに該当する場合は通勤手当の不正受給とみなされ、懲戒処分や刑事罰の対象になるおそれがあります。
・通勤手段を偽る
通勤手段を偽り、実際の通勤にかかる費用との差額を得ようとするケースです。具体例として、電車・バス通勤で申請しているにもかかわらず、実際には徒歩や自転車で通勤しているケースが挙げられます。
・住所を偽る
本来よりも離れた場所に住所を偽り、実際の通勤にかかる費用との差額を得ようとするケースです。具体例として、引っ越しをしたにもかかわらず会社に住所変更を届け出ずに以前の住所に基づいて通勤手当を多く受け取るケースが挙げられます。
・通勤ルートに無駄がある
遠回りのルートで通勤し、必要以上に通勤手当を得ようとするケースです。具体例として、遠回りの経路で通勤すると申請して、実際には近道のルートで通勤しているケースなどが挙げられます。
そもそも「通勤手当」の支給は会社の義務ではない
厚生労働省の資料によると、通勤手当の支給は使用者に義務付けられておらず、会社が負担しなければならないという法律もありません。
雇用契約書・就業規則・給与規程などで通勤手当の支給やその基準が定められている場合は支給の義務が生じますが、これはあくまで契約上の義務です。通勤手当の支給制度を採用するかどうかは各社の判断によって異なるため、通勤手当が支給されなくても直ちに違法とはなりません。
なお、厚生労働省の「令和2年就労条件総合調査」によると、通勤手当などの支給企業割合は92.3%で、労働者1人あたりの平均支給額は月1万1700円となっています。
まとめ
一般的に通勤定期券の私的利用は、法的に問題はないと考えられます。会社や組織が不利益を被ることもなく、私的利用をすべて把握することも難しいと考えられるため、不正として扱われるおそれもないでしょう。
ただし、通勤手段や住所を偽っている場合や合理的な理由もなく遠回りのルートで通勤している場合などは不正受給とみなされ、懲戒処分や刑事罰の対象になるおそれがあります。
なお、通勤手当は雇用契約書や就業規則などで支給やその基準が定められている場合は支給の義務が生じますが、これはあくまで契約上の義務です。通勤手当の支給は法律上義務付けられていないため、通勤手当が支給されなくても直ちに違法とはなりません。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当
厚生労働省 第2回社会保険料・労働保険料の賦課対象となる報酬等の範囲に関する検討会 資料1 通勤手当について(1ページ)
厚生労働省 令和2年就労条件総合調査の概況 2 賃金制度 (3)諸手当(13~14ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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