現金20万円入りの財布を拾ってもらったけど、「お礼として5万円払って」と言われてしまった…報労金の目安っていくらなの?
基本的に、お礼の相場は「拾ってもらった物品の価値の5~20%」とされていますが、拾ってもらった人に支払うべきお金はお礼だけではありません。
この記事では、落とし物を拾ってもらった際に支払うべきお金、落とし物をしたときの対処法について解説します。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
目次
落とし物を拾った人にはお礼をもらう権利がある
落とし物(拾得物)を拾った人には、拾った際の状況によってはお礼をもらう権利が与えられます。お店などの施設で拾った際は24時間以内に施設に届けることで、道端などで拾った際は1週間以内に警察へ届けることで権利の取得が可能です。
一般的に、拾得物を届けた人には以下の3つの権利があります。
報労金を受け取る権利
報労金とは「拾ってもらったお礼」のことです。
遺失物法は、警察まで届けた人へのお礼を「拾った物品の価格の5~20%」と定めています。現金20万円入りの財布なら、1万~4万円が報労金の妥当な範囲です。また、現金以外の物品であれば、「持ち主に返還されたときの価格」が基準となります。
「お礼は1割」と思っている方もいるようですが、法的には20%が上限です。ただし、お店などの施設内で拾って店員など施設の者に渡した場合、拾った人とその施設を有している人物や団体それぞれに報労金の額の2分の1の額が与えられることになります。
必要費用を受け取る権利
落とし物を拾った人には報労金だけでなく、届け出るための費用も一緒に請求する権利が認められています。例えば、落とし物を届けるために1000円の交通費がかかったなら、もらえるお金にその額を上乗せしてもらうことが可能です。
届け出るための費用には、保管や運搬の費用が含まれます。また、ペットなどの動物を拾った場合は、預かっている間にかかったエサ代や治療費も対象です。
所有権を手にする権利
落とし物を届けてから3ヶ月以内に持ち主が受け取らなかったなら、拾った人が希望すれば拾得物はその人の持ち物となります。ただ、クレジットカードや身分証明書など重要な物品は期限を過ぎても所有権は移りません。
所有権が移った後は、拾われた日から2カ月以内に管轄の警察署に連絡をすることで引き取ることができます。
お礼を支払わなかったことで訴訟を起こされた事例もある
落とし物のお礼を支払わなかったことで拾った人から訴訟を起こされた事例もあります。
2023年4月、大阪市西区に住む70歳の男性が「43万円が入った財布を警察に届けたのにお礼が一切なかった」として、持ち主の男性を簡易裁判所に提訴しました。結果として、落とし主が7万円の謝礼を支払うことで和解が成立したようです。
このように、裁判にまで発展してしまう事例もあるため、落とし物を拾ってもらったらすみやかにお礼を支払いましょう。
お礼のお金を支払わなくてもいいケース
落とし物を拾ってもらったとしてもお礼のお金を支払わなくていいケースがあります。
例えば、拾った人が報労金請求の権利を放棄した場合は、お礼のお金を支払う必要はありません。ただし報労金を放棄していても、必要費用を受け取る権利が放棄されていなければ、費用を請求された際に支払う義務が生じます。
また、落とし物が返還されてからすでに1ヶ月が経過した場合もお礼を支払う必要はありません。報労金だけではなく、必要費用もこの対象です。
落とし物をしたときの対処法
落とし物に気づいたらまず、警察に連絡しましょう。その後、警察署や交番の窓口で「遺失届出書」を作成します。どのエリアの警察署や交番でも構いません。あらかじめ警視庁のウェブサイトから用紙をプリントアウトし、記入したうえで提出することもできます。
また、100万円未満の現金であれば「警視庁行政手続オンラインサイト」からの手続きも可能です。クレジットカードを紛失した場合は警察だけでなく、カード会社にもすみやかに連絡しましょう。
落とし物のお礼は5~20%が妥当! 現金20万円なら4万円が上限
遺失物法では「落とし物のお礼は拾った物の価格の5~20%の範囲内」と定められています。また、支払うお金はお礼金だけでなく、落とし物を届け出るためにかかった費用も対象です。
したがって、現金20万円を拾ってもらったなら、落とし主が支払う金額は「1万~4万円のお礼金+交通費などの必要費用」になるでしょう。
過去には、落とし主のお礼を支払わなかったことで拾った人から訴訟を起こされた例もあります。後々思わぬトラブルに発展しないよう、落とし物を拾ってもらったらすみやかにお礼を支払いましょう。
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
