68歳の母と同居を始めた兄は、「都営住宅」の抽選が優遇されたようです。そこまで年収は少なくないのに、なぜなのでしょうか?
都営住宅には、一定の条件を満たすと一般よりも当選確率が高まる「優遇抽せん」という仕組みがあります。
本記事では、その制度の仕組みや具体的な優遇倍率、所得制限について詳しく解説します。
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都営住宅には「優遇抽せん」がある
5月と11月に実施される都営住宅の定期募集では、優遇抽せんという制度が設けられており、一定の資格要件を満たした世帯については、当選確率が一般よりも高くなります。
この制度には、優遇倍率が5倍になる甲優遇と、優遇倍率が7倍になる乙優遇の2種類の区分があり、以下の条件を満たす場合に応募可能です。
甲優遇と乙優遇
甲優遇として申請できるのは、次のいずれかの条件を満たす世帯です。
●5級以下の身体障害者手帳を保持する者がいる世帯
●軽度の知的障害者、もしくは精神障害者保健福祉手帳の3級を保有する世帯
●原爆被爆者、公害病認定患者、難病患者
●65歳以上の親と子どもが同居する世帯(親子ふれあい同居)
●DV被害者、犯罪被害者の世帯
●18歳未満の子どもが2人以下の子育て世帯
一方、乙優遇は、甲優遇よりもさらに困窮度が高いとされるケースが対象です。
●同居親族が20歳未満のひとり親世帯
●申込者が60歳以上で、同居親族もおおむね60歳以上もしくは18歳未満の高齢者世帯
●1~4級の身体障害者手帳を保持する者がいる世帯
●中度または重度の知的障害者、または精神障害者保健福祉手帳の1,2級を保有する世帯
●18歳未満の子どもが3人以上の子育て世帯
●小学校入学前の子どもが2人以上いる子育て世帯
●生活保護または中国残留邦人の支援給付を受けている世帯
68歳の母と同居を始めた今回のケースでは、甲優遇の「親子ふれあい同居」に該当した可能性があります。
この優遇資格には年収の大小は関係しないため、甲優遇として当選確率5倍の申し込みをすることが可能です。
都営住宅の所得制限
生活困窮者に住宅を提供するという制度の趣旨に基づき、都営住宅に応募するためには所得制限をクリアする必要があるのです。
都営住宅の所得基準は、世帯所得と家族の人数によって異なります。なお、家族の人数は同居親族だけでなく、所得税法上の扶養家族も入ります。
また、注意点としては、ここでの所得は給与の総支給額を表しているものではありません。総支給額から給与所得控除を行った税法上の所得金額から、さらに10万円を控除した金額が都営住宅の所得金額となります。
今回のケースである、68歳の母と兄の2人が入居を希望する場合には、一般区分での所得基準は0~227万6000円以下です。
家族の人数や特別控除の有無によって所得基準や所得金額の条件は変化するため、自分たちが該当するかどうかについては、窓口で相談してみましょう。
「優遇抽せん」に該当すると、都営住宅の当選確率が高くなる
68歳の母と同居した兄が都営住宅の抽選に優遇された理由としては、優遇抽せんの条件である「親子ふれあい同居」に該当したためである可能性が高いです。
都営住宅は支援が必要とされる家庭を優先的にサポートする仕組みになっており、優遇抽せんに該当すると、都営住宅の当選確率が5倍もしくは7倍に上がります。
これから都営住宅への応募を検討している方は、自身や家族の状況が優遇抽せんに当てはまるかどうか、一度確認してみるとよいでしょう。
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
