東京の「手取り18万円」の企業から内定をもらった娘。“千葉・埼玉”ではなく「東京に住みたい」とのことですが、さすがに厳しいですよね…? 家賃の限度額ってどのくらいなのでしょうか?
手取りの給与額が「月に18万円」の場合、実際には毎月の家賃にどれくらいの金額を支払えるのでしょうか。またその家賃額で、東京23区内で1人暮らしをするためのマンションは、どれほどあるのでしょうか。
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント
「手取り18万円」1人暮らしで、家賃にかけられる限度額は?
一般的に、無理なく生活を送るための住居費の目安は「手取り収入額の3分の1以下」と言われています。
ただこれは、筆者としては住居費にかけることのできる金額としてはギリギリの上限だと感じており、1人暮らしをしながら生活や趣味を楽しみ、将来に向けて少しでも貯蓄をしたいと考えるのであれば、月々の住居費は「手取り収入の4分の1以下」におさえるのが望ましいという意見です。
「手取り18万円」の場合だと、それぞれの基準を適用したとき、月にかけられる住居費の上限額は以下の通りになります。
18万円÷3=6万円/月
(手取り収入額の4分の1の場合)
18万円÷4=4万5000円/月
土地価格や物価の上昇とともに家賃の高騰も続いている東京都内、特に23区内であれば、月々の家賃が4万5000円以下の物件を探すのは、かなり難しいように思えます。
実際に、不動産情報サイトの「アットホーム」によれば、東京23区内の「ワンルーム~1K」賃貸物件の家賃相場は、最高が港区の「13.04万円」、最低の江戸川区でも「5.94万円」となっています(2025年7月8日時点)。
月に5万円程度で賃貸できる「1人暮らし用物件」は、23区内にあるの?
毎月の家賃・共益費を合わせて「5万円程度」でも賃貸できる「1人暮らし用物件」は、東京23区内にどれほどあるのでしょうか。「アットホーム」を使用して、以下の条件で検索してみました。
・住所は、東京23区内
・間取りは、ワンルーム~1LDK
以上の条件で絞り込むと、執筆当時(2025年7月上旬)で候補は「7871件」となりました。家賃・管理費を「月に4万5000円以下」まで絞り込んだ場合でも「1737件」がヒットします。これは筆者の予想よりは、かなり多くの物件があてはまるという印象です。
「月に4万5000円以下」の場合でも、検索範囲を「東京市部」にも広げれば、ヒット数は一気に「1万111件」まで増加します。「東京に1人暮らしで住む」ことだけを達成したいのであれば、手取り18万円でも十分に可能であると言えるでしょう。
ただ、実際の住居の条件をよく見てみると、以下のような物件が多いことが目につきます。
・最寄り駅から遠い(徒歩で10分以上かかる場合がほとんど)
・部屋が狭い(10平米台の物件が多い)
・シェアハウスである
・23区の中心部では、条件にあてはまる物件がない(千代田区、港区、中央区で該当ゼロ)
「手取り18万円」程度で東京23区内の1人暮らしをしたいのであれば、前述の条件について、いくつか妥協することが必要になってくるでしょう。また、不動産情報サイトからは読み取れない条件として、住居周辺の環境(騒音・匂いなど)や人間関係も見逃すことはできません。
実際に1人暮らしを検討するのであれば、必ず現地に足を運び、しっかり納得をしたうえで住居を決めたいものです。
まとめ
毎月の手取り額が18万円程度の場合、月に支払える住居費は4万5000円~6万円程度におさえるのが望ましいと言えます。東京23区内であっても、月の家賃・共益費が合計4万5000円程度に抑えられる物件は数多くありますが、多くの場合は間取りや築年数などで妥協することが必要になってきます。
実際に1人暮らしをするときは、見た目の家賃の金額だけでは決めず、必ず現地に足を運んで周辺環境をチェックし、納得してから決めていきましょう。
出典
at home(アットホーム)東京都の家賃相場
執筆者 : 山田圭佑
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント
