子どもに「夏休みの自由研究で10円玉を磨きたい」と言われました。硬貨を磨くと「法律違反」と聞きましたが、本当に問題ないでしょうか? 注意が必要なポイントも教えてください
本記事では硬貨を磨くと貨幣損傷等取締法に触れてしまうのかどうか、10円玉を磨くという自由研究の注意点について解説します。
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貨幣損傷等取締法とは
貨幣損傷等取締法とは、その名前の通り貨幣を損傷または鋳潰すことを禁じる法律です。同法では10円玉だけでなく1円玉、5円玉、50円玉、100円玉、500円玉といった硬貨の損傷等を規制しており、違反した場合は1年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金です。
10円磨きの自由研究は法律に違反する?
10円玉を磨いてピカピカにする自由研究は、貨幣損傷等取締法違反にあたらない可能性が高いと考えられます。洗剤や調味料などを用いて10円玉を磨く実験は10円玉の表面に付着した汚れや錆を落としているだけであり、10円玉を損傷・変形させているとは言えないからです。
子どもがブラシなどで力いっぱい10円玉を擦ったとしても、表面が削れて文字や絵柄が見えなくなることは想像しにくく、貨幣の価値が損なわれることはないと考えられます。
しかし、金属製のヤスリを使って強く磨くと表面が削れるなどひどく損傷する可能性があります。特殊な機械を使って形が変わるほど激しく磨いたり、化学薬品で10円玉を溶かしたりする行為は、10円磨きの自由研究の目的から大きくズレており、法律違反となる可能性があるので止めましょう。
ちなみに、お金磨きのやりすぎによって10円玉の模様が判別できなくなると、その貨幣は「無効」になるため買い物には使えなくなります(通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律第9条)。
10円玉はなぜ綺麗になるの?
10円玉の汚れは銅が空気中の酸素と反応して生じる酸化銅によるものです。硬貨の表面に薄い膜を張ってしまうので、10円玉が濃い茶色や黒っぽくくすんだ色になります。
酸化銅が酸によって溶け出すという性質を利用したのが、家庭にある洗剤や調味料を使用して10円玉を綺麗にするという実験です。お酢やレモン汁に10円玉を浸すと、酸化銅が溶けて10円玉本来の色に戻るので10円玉が綺麗になったように見えます。
10円玉の銅は酸の中でも醤油などに含まれるアミノ酸やケチャップなどに含まれている酢酸によく反応するため、醤油やケチャップ、タバスコなどさまざまな調味料で汚れを落とすことができるのです。10円玉を磨く実験を行うときは、酸に注目して材料を集めてみると良いでしょう。
10円玉磨きの自由研究は法律違反にはならない
日本には貨幣損傷等取締法という法律があり、故意にお金を損傷させたり溶かしたりして別のものにする行為は禁止されています。しかし、家庭にあるものを使って10円玉を綺麗にする実験程度なら10円玉の形や文字、絵柄を変えて貨幣としての価値を損なうとは考えにくいため、10円玉を磨く実験は法律違反にならないと言えるでしょう。
ただし、ヤスリなどを使用して形が変わるほど10円玉を磨くと違法になる可能性があるので、磨きすぎは禁物です。10円玉をピカピカに磨くという実験は酸化銅が酸によって溶けるという性質を利用したものであり、10円玉の汚れを落とすことが目的であることを忘れてはいけません。
出典
日本銀行 銀行券/国庫・国債 10円貨(青銅)
e-Gov 法令検索 貨幣損傷等取締法
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
