母が「2人部屋」に2週間入院して、差額ベッド代が「5万円以上」…!個室だけが対象じゃないの?

配信日: 2025.07.30 更新日: 2025.09.26
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母が「2人部屋」に2週間入院して、差額ベッド代が「5万円以上」…!個室だけが対象じゃないの?
「差額ベッド代」は一人用の個室利用時に発生するものだと思っている人も多いようですが、実は2人部屋や4人部屋といった少人数の病室にもかかるケースがあります。
 
ただし、この費用は必ず発生するものではなく、請求には患者の事前同意が必要となります。病院側からの説明や、同意書への署名がなければ支払い義務はないようです。
 
本記事では、意外と知られていない差額ベッド代の仕組みや、費用請求される条件について解説します。
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差額ベッド代とは

差額ベッド代とは、快適な入院環境を希望する場合に、患者自身が追加で支払う費用です。正式には「特別療養環境室料」といいます。健康保険は適用されないため、全額自費負担が必要です。
 
対象となる部屋にはいくつかの条件があり、以下の4つの要件をすべて満たす病室である必要があります。


1.ベッド数が4床以下であること
2.一人当たり6.4平方メートル以上のスペースが確保されている
3.プライバシーの確保ができる(カーテンで仕切られているなど)
4.個別の証明、机、椅子、私物の収納設備などがある

これらの条件をすべて満たす病室で、かつ患者の希望によって入院する場合に、差額ベッド代が発生します。つまり、条件を満たせば一人用の個室以外でも費用がかかることになります。
 

差額ベッド代は患者の同意がないと請求できない

差額ベッド代が発生する病室であっても、以下のような場合には支払い義務はありません。
 

1.同意書での確認がなかった場合

病院からの十分な説明がなされておらず、患者が書面に署名していない場合は、費用の請求は無効となります。
 

2.治療上の必要により通常は差額ベッド代が発生する部屋に入院した場合

本人の希望ではなく、医療上の判断で個室などに入らざるをえなかった場合も、患者側に費用負担は生じません。例えば、免疫力の低下による感染症罹患を防ぐため、重篤な病状により監視を要するため、といったケースが当てはまります。
 

3.病院側の都合で少人数部屋に入院した場合

空き病床の関係でやむを得ず少人数部屋に入った場合も、支払い義務はありません。
 
もし身に覚えのない請求があった場合は、入院時にどのような説明がされていたか、事前説明や同意があったかを確認するようにしましょう。
 

差額ベッド代の料金

ここからは、差額ベッド代はどの程度かかるのか、厚生労働省の集計データと実際の病院の料金をご紹介します。厚生労働省「主な選定療養に係る報告状況」によると、令和5年7月1日現在の差額ベッド代の平均値は表1の通りです。
 
表1

1日あたり平均徴収額(推計)
1人室 8437円
2人室 3137円
3人室 2808円
4人室 2724円

出典:厚生労働省「主な選定療養に係る報告状況」を基に筆者作成
 
ただし、実際の費用は病院ごとに異なります。例えば、東京都のある病院では表2のような設定となっています。
 
表2

1日料金
1人室 1万3750円~3万3550円
2人室 3300円~9350円
3人室
4人室 2200円

※筆者作成
 
地域や病院の規模、設備内容によって、料金にはかなりの幅があります。特に、設備の整っている一人用の個室は、1日あたりの料金が3万円を超える場合もあります。
 

差額ベッド代は個室のみに発生するわけではない

差額ベッド代は、一人用の個室だけにかかる費用というわけではなく、基準を満たしている病室であれば2人~4人の少人数部屋でも発生するものです。
 
しかし、請求には患者の事前同意が必要であり、治療上の必要性や病院都合による入室であれば、基本的に支払いが発生することはありません。
 
「気づいたら高額な差額ベッド代が発生していた」という事態を防ぐためにも、入院時には病室に関する情報をしっかりと確認するようにしましょう。
 

出典

厚生労働省 主な選定療養に係る報告状況
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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