地元のゴミ袋が「10枚84円→270円」の値上げに…! 友人の地域は「指定ゴミ袋代は無料」とのことですが、なぜ地域によって“値段が違う”のでしょうか?
令和7年4月から、愛知県・熊本県などの一部地域の指定ゴミ袋が1枚5円~6円程度値上げされました。茨城県では10枚84円から270円へ約3倍の値上げに踏み切った自治体もありました。
本記事では、地域によって指定ゴミ袋の価格が違う理由と、値上げの理由を説明します。
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ゴミ処理事業にかかっているお金はいくら?
日本国内でのゴミ処理事業には、どのくらいの金額がかかっているのでしょうか。
環境省が発表した「一般廃棄物の排出及び条理状況等について(令和5年度)」によると、全国でのゴミ処理事業経費として2兆2912億円が使われており、前年度と比べて6.5%増加しています。ゴミ処理事業経費のうち、処理・維持管理費は1兆7000億円・建設改良費は4402億円でした。
全国でのゴミ総排出量は3897万トンで1日1人あたりに換算すると851グラムとなっています。そのうち、生活系ゴミ排出量は2175万トンで1人1日あたりの家庭系ゴミ排出量は475グラムでした。ゴミの半分以上を家庭のゴミが占めていることが分かります。
なお、ゴミ収集について、生活系ゴミ(粗大ゴミを含む)の手数料を有料化している市町村は82%、無料は18%です。
指定ゴミ袋を購入したお金は、どのように使われる?
多くの自治体では、ゴミ処理費用の一部を住民が負担するという考え方にもとづいて指定ゴミ袋を有料化しています。
指定ゴミ袋の価格は45リットル程度の大袋で1枚10円前後から200円程度と自治体によってさまざまです。1リットルあたり1円で1枚45円ほどが平均的な価格です。
自治体ごとのゴミ収集・運搬・焼却・埋め立てといった一連のゴミ処理には、莫大な費用がかかっており、主に以下のような費用が必要になります。
(1)ゴミ収集・運搬費用
ゴミ収集での人件費・収集車の燃料費や維持費など
(2)人件費
ゴミ処理にかかわる職員の給与など
(3)ゴミ処理施設の維持管理費
ゴミ焼却炉やリサイクル施設・最終処分場の運営費など
これらの費用をまかなうために、住民税などの税金だけでなくゴミ袋の販売を通じて「受益者負担」を求める自治体が多いのです。ゴミを出す量が多いほど、ゴミ処理への負担も増えると言えます。
地域ごとに指定ゴミ袋の値段が違う理由は?
それでは、なぜ地域によって指定ゴミ袋の価格に差が出るのでしょうか。主な要因は以下の2つです。
(1)ゴミ処理能力の違い
ゴミ焼却場の有無や、その処理能力によって、処理施設の維持費用などが大きく異なります。老朽化した処理施設の改修を行う場合などは、その費用が指定ゴミ袋の価格に反映されることもあります。
(2)自治体の財政状況の違い
東京都など家庭ゴミ処理費用無料を行っているところや、独自の補助でゴミ袋の値上げを抑えている自治体もあります。一方で、財政状況が厳しい自治体ではゴミ処理事業経費の不足を補うために指定ゴミ袋の価格を上げて住民負担を増やすということもあるようです。
最終的には、自治体が「ゴミ処理事業経費をどのようにまかなうか」という政策判断によってゴミ袋の価格が決められていると言えるでしょう。
まとめ
生活必需品である指定ゴミ袋は、地域によって価格が異なり、その理由は自治体でのゴミ処理能力や財政状況などです。ゴミ袋が値上がりすると、年間で数千円程度の負担増加になることもあり、家計に少なからず影響を与えます。
ゴミの減量化やリサイクルを進めて、環境と家計にも優しい生活を目指すことが望ましいでしょう。
出典
環境省 一般廃棄物の排出及び条理状況等(令和5年度) について
東京二十三区清掃一部事務組合 ごみの収集・運搬
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
