息子が「大学院」への進学を希望しています。「授業料の後払い」を検討しているそうですが、毎月5万円ほどの「貸与型奨学金」とは違うのでしょうか?
そこで今回は、授業料後払い制度と貸与型奨学金制度について、それぞれの制度の概要や違いについて詳しく解説していきます。
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授業料後払い制度について
「授業料後払い制度」は、経済的な理由で大学院への進学断念を防ぐため、令和6年度から国が導入した制度の1つです。
この制度の特徴は、原則在学中に授業料を支払う必要がない点です。大学院の修士課程(博士前期相当の課程を含む)や専門職学位課程に在籍する学生が対象となります。
返済は、卒業後に自身の所得が一定額を超えたときに始まります。 所得が低い期間は返済が猶予される仕組みとなっているため、卒業後すぐに収入が安定しない場合でも無理なく返済計画を立てることが可能です。
また、ひと月あたり2万円または4万円の生活費奨学金を受けられ、第一種奨学金との併用はできませんが、第二種奨学金制度との併用は可能です。授業料後払い制度は、経済的な不安を持つことなく、大学院で学びを深めたい学生にとって有効な選択肢の1つといえるでしょう。
貸与型奨学金との違い
大学院進学の際の支援制度として、貸与型奨学金があります。経済的支援をするという意味では、貸与型奨学金も授業料の後払い制度も変わりません。しかし、その仕組みには大きな違いがあるので詳しく見ていきましょう。
対象となる学校種別や課程
2つの制度の最も大きな違いは、対象となる学校種別や課程が異なる点です。独立行政法人日本学生支援機構によると、授業料の後払い制度では大学院修士課程(博士前期相当の課程を含む)や専門職学位課程の在学者が対象です。
一方で、貸与型奨学金は国内の大学、短期大学、専門学校、専修学校(専門課程)など、幅広い学生が対象となります。
返済開始のタイミングや利子の有無
授業料後払い制度は、学生が大学院在学中に授業料を自ら支払う必要がなく、卒業後、所得に応じて後から支払う制度です。例えば、子どもが2人いる場合には年収400万円程度までは返済が始まらないようです。
これに対して貸与型奨学金は、学生が直接お金を借りて自分の口座で受け取り、学費や生活費に充てる制度です。貸与型奨学金には、利子のつかない第一種奨学金と有利子の第二種奨学金があります。
通常、利子のある貸与型奨学金(第二種奨学金)は、卒業後には借り入れた全額を、毎月一定額で返済していかなければなりません。
授業料後払い制度と貸与型奨学金のどちらを選ぶべきか?
授業料後払い制度と貸与型奨学金は、それぞれ異なる制度になるため、どちらを選ぶべきかは個々の状況によって異なります。どちらが自分にとって最適かは、以下のポイントを意識して検討してみましょう。
・卒業後の所得の見込み
・返済開始時期
・必要な資金の範囲
・利子の有無
授業料後払い制度は、卒業後すぐに返済する必要がないため、収入が安定しない期間や子どもが2人以上いる家庭では経済的負担をおさえられるでしょう。
一方で、貸与型奨学金は授業料以外の生活費などもカバーできる可能性があります。両方の制度の内容を十分に理解したうえで、ご自身の状況に適した方法を選ぶようにしましょう。
授業料後払い制度は貸与型奨学金とは異なる制度
授業料後払い制度は、貸与型奨学金とは異なる新しい仕組みの授業料支援制度です。在学中に授業料を支払う必要がなく、卒業後の所得に応じて返済を開始する点が従来の貸与型奨学金との大きな違いとなります。
一方で、貸与型奨学金は学生が資金を借り入れ、卒業後に原則として定められた額を返済していきます。奨学金の種類によっては利子が発生するケースもあるでしょう。
どちらの制度を選ぶべきかは、卒業後の所得見込み、必要な資金の範囲、利子の有無など個人の状況によって異なります。制度内容を十分に理解したうえでどちらの制度を利用するか検討するようにしましょう。
出典
独立行政法人日本学生支援機構 授業料後払い制度(大学院修士段階)
独立行政法人日本学生支援機構 貸与奨学金(返済必要)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

















