雇用保険の受給がまもなく終了するアラサーの社会人です。未だ就職先が決まらず焦っているのですが、生活保護に頼るしかないのでしょうか…?
基本手当は、雇用保険の被保険者期間や退職理由によって支給日数があらかじめ決められています。万が一、基本手当の支給期間が終わりかけの段階で、なおかつ新しい仕事が決まっていない場合、基本手当の受給を延長できる可能性があるかもしれません。
そこで本記事では、雇用保険の基本手当における延長制度の内容と条件、生活保護制度について解説していきます。ぜひ参考にしてください。
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目次
延長制度を使えば、生活保護に頼らずに済む可能性がある
雇用保険の基本手当は、原則として離職の翌日から1年以内に最大で90日〜360日分が支給される仕組みです。
万が一、新しい就職先が決まる前にこの所定給付日数が終わっても、一定の条件を満たすことで給付の延長が認められるケースがあります。雇用保険の基本手当における延長制度を表1にまとめました。
表1
| 訓練延長給付 | ハローワークが指示する公共職業訓練を受ける場合に、その訓練期間中に基本手当の支給がおわっても、講座受講中や講座終了後の一定期間は基本手当が支給される制度。 |
| 個別延長給付 | 災害でやむを得ず離職された方や、障害が原因で再就職が困難な特定の受給資格者に対して給付日数が延長される制度。 |
| 広域延長給付 | 特定の地域で失業状況が著しく悪化し、広範囲での求職活動が必要と認められる場合に、その地域の受給資格者に対して給付日数が延長される制度。 |
| 全国延長給付 | 全国的に失業状況が著しく悪化して失業者が増えた場合に、全国の受給資格者に対して給付日数が延長される制度。 |
厚生労働省「雇用保険に関する業務取扱要領(令和7年4月1日以降)」を基に筆者作成
今回のように、基本手当の受給が終わりかけの段階で再就職先が決まっていない場合は、一定の条件を満たせば訓練延長給付が利用できる可能性があります。
この制度のメリットは、再就職に直結するスキルを学びながら、受給期間終了後でも経済的支援を受けられる点です。そのため、安心して次の就職先を探すことができます。
延長給付で受け取れる金額の基礎となる「基本手当日額」について
前章で触れた通り、各延長制度は基本手当の延長を行うものです。そのため、給付の基礎となるのは、基本手当の1日あたりの支給額である基本手当日額になります。
基本手当日額は、離職前6ヶ月の賃金の合計(賞与を除く)÷180で算出される賃金日額の約50~80%です。例えば、離職前の6ヶ月の賃金合計150万円(ひと月25万円)とした場合の賃金日額は次の通りです。
・賃金日額:(25万円×6ヶ月)÷180=約8333円
この基本日額に対して、年齢に応じた所定の給付率をかけて基本手当日額を算出します。離職時の年齢が40歳の場合、基本手当日額は約5634円です。
延長制度の対象にならない場合は、生活保護を検討する選択肢もある
基本手当の延長対象にならない場合は、生活保護の申請を検討するのも1つの方法です。生活保護制度とは、最低限度の生活を保障するための制度で、申請には次の条件を満たす必要があります。
・所得や資産(預貯金・不動産)などが一定以下である
・年金、雇用保険などのほかの公的制度を活用しているにもかかわらず世帯収入が国の定める最低生活費に満たない
・扶養義務者の親族から援助を受けられない
生活保護を検討する場合は、条件を確認し、お近くの福祉事務所へあらかじめ相談したうえで申請しましょう。承認がおりると、生活保護費が支給されます。
まずは延長制度の活用を確認! 生活保護は最後の手段として検討を
雇用保険の基本手当が終了しても、すぐに生活保護に頼る必要はないケースもあります。公共職業訓練を受講して訓練延長給付が受けられる場合、生活費を確保しながら再就職のためのスキルアップが可能です。
一方、すべての延長制度の対象にならず、収入や資産もほとんどない場合には、無理をせず生活保護の申請を検討しましょう。ハローワークや自治体の窓口で早めに情報収集し、自分に合った支援制度を選ぶことが大切です。
出典
厚生労働省 雇用保険に関する業務取扱要領(令和7年4月1日以降) 一般被保険者の求職者給付 第13~第16
厚生労働省 雇用保険の基本手当日額が変更になります~令和6年8月1日から~ 2P
厚生労働省 個別延長給付のご案内
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
