「毎日タクシーなんて乗れるか!」と免許返納に応じない父。車を処分すれば「年50万円」の維持費が不要になるはずですが、実際“タクシー・マイカー”のどちらがお得でしょうか?
そこで本記事では「免許を返納してタクシーで移動するか」「車に乗り続けるか」でコストにどのくらいの差があるのか比較検討してみましょう。
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免許を返納することで節約できるお金はいくら?
免許を返納してしまうとタクシーでの移動にお金がかかるという理由で、車を手放せない高齢者の人も多いのではないでしょうか。
しかし実際には、タクシーの利用回数次第では車を持つよりもコストを抑えられる可能性があります。
例えば高齢者が賃貸物件に住んでいて駐車場を借りている場合。東京都の月極駐車場の賃料は平均約2万8000円、年間で約33万6000円です。
また、車を使うにはガソリン代もかかります。資源エネルギー庁の石油製品価格調査によれば、令和7年7月22日時点でのレギュラーガソリンの価格は173.6円でした。
豊田都市交通研究所の調査によると、高齢者は平均で週5日、スーパーやドラッグストアなどに行くために車を運転しており、週あたりの運転距離は20~30キロメートルです。
週30キロメートル×4週間とすると月の走行距離数は約120キロメートルになります。
ホンダ「フィット」を所有していてリッター18キロメートルで走行すると仮定すると月あたり約7リットルのガソリンを使用することになり、月のガソリン代は約1216円、年間で約1万4600円となります。
また、毎年1回は自動車種別割の納税が必要です。フィットの総排気量が1.5リットルと仮定すると令和元年9月30日までに初回新規登録を受けたフィットの自動車税種別割は3万4500円です。
さらに車検費用も必要です。費用は修理の有無によっても異なりますが、ここでは2年に1回15万円と仮定すると年間で7万5000円の費用負担が発生します。
ここまでの4つ(駐車場代、ガソリン代、自動車税、車検代)だけでも、年間で約46万100円のコストがかかることになります。
免許を返納した場合、年間で約46万円の節約になることが分かりました。
車に乗り続けた場合とタクシーを利用した場合の費用比較
では、免許を返納してタクシーに乗った場合の費用はどのくらいかかるのでしょうか。
前項では、車を所有する高齢者は平均週5日、30キロを走行するというデータをもとに車の維持費用を計算しました。
今回は本事例に合うように、自宅からスーパー、自宅からかかりつけの医院までの距離を「自宅から片道3キロメートル」と仮定します。
スーパーに週3回、医者に週2回通うと仮定すると週の移動距離は18キロメートル+12キロメートルで30キロになって前提条件と合致します。
タクシーの東京都の初乗り運賃は「1095メートルで500円」以降は「255メートルごとに100円」ですが、今回は分かりやすく「初乗りは1キロ500円」「以降は250メートルごと100円」としましょう。
片道3キロの週のタクシー代は「初乗り1キロ500円+2キロ800円=1300円×2(往復)=2600円」となり、片道1300円・往復2600円と計算できます。
自宅と医院・スーパーの往復で片道1300円・往復2600円と仮定して、月13回タクシーを利用すると3万3800円、年間で40万5600円です。これでもまだタクシーのほうが安上がりということになります。
一方、月15回利用すると月3万9000円、年間で46万8000円となり、これ以上は車のほうが安上がりになる計算です。
ただ、自治体によっては「免許を自主返納すると1割引」というサービスが受けられます。運賃が1割引になると月15回利用でも年間費用が42万1200円となり、車を所有するよりも安くなります。
1回の運賃が1割引の2340円になれば月16回の利用で年間費用は44万9280円となり、今回の試算では割引込みで月17回未満まではタクシーのほうがお得ということが分かりました。
まとめ
自治体によってはタクシーの運賃の1割引だけでなく、バスと共通の補助券を月数千円分も受け取れることもあります。
車を所有したほうが安いかは個人の生活環境によって異なります。タクシーの割引や補助も含めて費用を試算してみて、家族で免許返納について話し合ってみてはいかがでしょうか。
出典
資源エネルギー庁 石油製品価格調査
豊田都市交通研究所 高齢ドライバの自動車利用の実態と特徴
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
