子どもが同じ公立高校に通っているママ友が「毎月3万5000円の学費はいたい」と言っていたのですが…うちは「1万円未満」です。もしかして年収は3倍以上なのでしょうか?

配信日: 2025.08.17 更新日: 2025.09.26
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子どもが同じ公立高校に通っているママ友が「毎月3万5000円の学費はいたい」と言っていたのですが…うちは「1万円未満」です。もしかして年収は3倍以上なのでしょうか?
同じ公立高校であっても、家庭により学費の差が出ることがあるようです。中には3万5000円支払っている家庭があることを知り、自身は1万円未満であることから、驚いた経験を持つこともあるでしょう。
 
学費の差には、家庭の所得により授業料を国が支援する「高等学校等就学支援金制度」が関係している可能性があります。もし、この制度を活用できる年収を超過しているのであれば、年収差が3倍以上あるのでは、と考えるかもしれません。
 
この記事では、「高等学校等就学支援金制度」を基に、その仕組みから、年収が本当に3倍以上になるのかを解説します。
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授業料が実質無料になる「高等学校等就学支援金制度」

「高等学校等就学支援金制度」は、国公私立を問わず高校等に通う生徒がいる家庭で、一定の所得要件を満たしていれば、授業料の一部または全額を国が支援する制度です。返済不要で、教育費の負担減を目的としています。
 
公立高校の授業料は、標準で年額11万8800円です。この金額が支給されることで、授業料は負担しなくて済むのです。
 
一方、授業料以外の学校教育費では、教材費やPTA会費、学校納付金などがあります。学校によって金額には違いがありますが、年間で30万円程度とされています。ここから授業料を差し引くと約18万円となり、約1万5000円が毎月必要になるといえるでしょう。
 
つまり、今回の事例における1万円未満しか支払っていないご家庭は、この支援を受けており、実費でかかる教材費やPTA会費などで必要なものだけを支払っていると考えられます。
 

なぜ学費に差が生まれる? 「所得制限」の仕組み

支援を受けられるかどうかは、保護者などの所得によって判断されます。具体的には、市町村民税の課税標準額に6%をかけ、そこから市町村民税の調整控除額を引いた金額が基準となります。
 
文部科学省によれば、この算出額が30万4200円未満であれば支援対象となり、それ以上の場合は対象外です。支援の対象となるかどうかは、世帯年収がおおむね910万円未満かどうかが判断の分かれ目になります。
 
つまり、「支援を受けていて実質無料」「自己負担で払っている」といった差が、この所得制限によって生まれているのです。
 

「月3万5000円」の正体は授業料+諸経費?

今回のケースにおいて、ママ友が話していた学費「月3万5000円」といった金額は、授業料以外に必要となるさまざまな諸経費も含まれていると考えられます。
 
授業料以外に、以下のような費用が発生するとされています。

●教材費
●学校納付金
●教科外活動費
●PTA会費、生徒会費
●修学旅行の積立金
●部活動費

これらは、基本的にすべての家庭で自己負担する必要のある経費です。仮に諸経費が月2万5000円程度かかっているとすれば、授業料とあわせて3万5000円程度になることも十分考えられます。
 
以上から、学費の差が3倍ほどあるからといって、必ずしも年収も3倍以上とは言い切れないでしょう。
 

令和7年度は「高校生等臨時支援金制度」あり

令和7年度については、所得制限により支援を受けられなかった生徒に対しても「高校生等臨時支援金」が支給され、事実上すべての家庭において公立高校における授業料は無料となります。
 
そのため、令和7年度においては、学費に必要となる金額だけで、年収を判断することはできないといえるでしょう。
 

学費の差は所得制限による可能性あり! ただし令和7年度以降は学費による年収差の判断はできないと考えられる

同じ公立高校に通っていても、家庭によって学費の負担額が違うのは、「高等学校等就学支援金制度」の所得制限が影響している可能性が高いです。
 
世帯の状況にもよりますが、公立高校の場合、世帯年収がおおむね910万円未満であれば授業料が全額支援されますが、それ以上だと自己負担になる可能性があります。所得制限を超過していた場合、授業料が毎月必要となります。
 
しかし、令和7年度については「高校生等臨時支援金制度」により、所得制限を超過した家庭に対しても、授業料が支援されることになりました。これにより、授業料だけで年収差の判断はできないといえます。
 

出典

文部科学省 高校生等への修学支援 高等学校等就学支援金制度
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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