最高裁が「生活保護費引き下げは違法」と判断! 生活保護の「最低生活費」はどうやって決まっている?
本記事では、国が示す「最低生活費」はどうやって決まるのかと併せて、判決の意義や制度の仕組みに迫ります。
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最高裁判決で生活保護費減額が違法判決! その背景と意義
2025年6月27日、最高裁判所は国による生活保護費の段階的な引き下げについて「違法」と判断しました。この判決は、2013年から実施された生活保護費(生活扶助基準)の引き下げをめぐり、複数の受給者が国を相手に訴訟を起こしていたものです。
最高裁は、国の判断過程や行政手続きに問題があったと断定し、引き下げ処分を取り消す判決を下しました。この判決を受け、厚生労働省は専門家会議を開催し、生活保護基準の決定プロセスや運用の在り方を見直す方針を示しています。
生活保護の「最低生活費」はどうやって決まるのか? 仕組みと計算方法
生活保護の最低生活費は、「国民の健康で文化的な最低限度の生活を保障する」ことを目的とし、世帯の年齢構成や人数、地域差、物価水準などをもとに決定されます。
具体的には、「生活扶助基準」という基準額があり、厚生労働省が定期的に見直しています。生活扶助には、「食費・光熱費・日用品費」など生計の基本的部分が含まれており、さらに「住宅扶助」「医療扶助」などが加算される仕組みです。
また、この基準額は経済の情勢や物価指数など複数のデータを分析した上で、専門家で作る厚生労働省の部会で検討されて決定されます。そのため、景気や物価状況の変化にも一定程度対応可能な制度設計となっています。
生活扶助基準額の例と、加算措置や受給のポイント
厚生労働省によれば、2023年10月1日時点における生活扶助基準額の例として、住まいの地域によって、高齢者単身世帯(68歳)のケースでは7万~8万円程度、高齢者夫婦世帯(68歳、65歳)では11万~12万円程度です。
加えて、2025年10月からは物価高騰などを背景に、新たな加算措置・特別支給が実施される予定です。
なお、申請時には預貯金や収入状況などが詳細に審査されますが、生活保護の目的や趣旨を正しく理解し、必要な人が適切に支援を受けられるようにすることが制度運用上のポイントです。
まとめ
最高裁の判決は、生活保護費の決定における「適正さ」と「透明性」が強く問われたことを示しています。減額が受給者の生活に与える影響は大きく、今後は物価上昇や社会構造の変化にも柔軟に対応できる運用が望まれます。
今回の判決をきっかけに、基準決定プロセスの専門性や公開性の向上、受給者の声をいっそう反映させることが重要であると考えられます。
また、生活保護制度は一時的な救済策にとどまらず、多様な世帯が自立できる仕組み(就労支援や自立のためのプログラムなど)との連携が不可欠です。社会全体で誰も取り残さず、必要な時に安心して利用できる「命綱」としての意義が改めて再認識されています。
出典
厚生労働省 生活保護制度 生活保護制度に関するQ&A Q.5 具体的にはどれくらい保護費が支給されますか。(3ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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