子どもに「将来は歌舞伎役者になりたい」と言われました。国立劇場の歌舞伎俳優研修は「受講料無料」のようですが、“宿舎”や“奨励費”の仕組みが気になります。実際にはどんな費用がかかるのでしょうか?
国立劇場の「歌舞伎俳優研修」は受講料がかからないことで知られていますが、実際には宿舎費や奨励費など、家計で把握しておきたい点があります。ここではその内訳を分かりやすく解説します。
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受講料は無料。応募資格は15歳から23歳の男子
「歌舞伎俳優研修」は、歌舞伎俳優を志す若者に基礎教育を行う制度です。応募資格は満15歳から23歳までの男子で、中学校卒業以上。令和8年度の選考方法は、作文や簡単な実技、面接などが含まれます。
研修期間は原則2年間、平日の午前10時から午後6時まで稽古や講義が行われます。研修内容は、歌舞伎の実技に加えて、化粧、衣裳、日本舞踊、長唄、鳴物、体操、作法、講義、実演発表、公演出演など、幅広い稽古が組み込まれています。
また、研修開始から8ヶ月以内に「適性審査」があり、この時点で研修を継続できるかどうかが判断されます。受験料は無料で、合格すれば受講料も無料。学費の負担なく専門教育を受けられるのが大きな特徴です。
一方で、公式には倍率は公表されていませんが、募集人員は「若干名」とされており、応募から合格までは狭き門といえるでしょう。
宿舎は有料、補助が出るケースもある
受講料がかからない一方で、生活に直結するのが住まいの費用です。
遠隔地からの研修生は宿舎を利用できますが、遠方から通う研修生には、有料で宿舎の貸与(審査あり)や住宅費補助金(空室がない場合)が給付されます。
学費は無料でも、住まいの費用は自己負担が前提となるため、上京を伴う場合は家計に大きな影響を与える可能性があるでしょう。
奨励費は貸与。一定期間活動すれば返還免除
募集要項には「伝統芸能伝承奨励費」が貸与されると明記されています。これは給付ではなく貸与であり、研修修了後にプロの歌舞伎俳優として一定期間活動した場合に返還が免除される仕組みです。
制度上はまず貸与として扱われるため、利用にあたっては免除条件を確認しておく必要があります。
修了後の進路はプロの舞台へ
2年間の研修を修了すると、伝統歌舞伎保存会の斡旋により幹部俳優に入門するのが基本的な流れです。
研修中に学んだ所作や演技、舞踊などを舞台で実際に発揮していくことで、役者としての基礎を固めていくことが想定されています。
制度として、研修から実際の舞台に立つまでの道筋が整えられているため、修了後に次のステップを迷うことなく、歌舞伎俳優として活動を続けられる環境が用意されているといえるでしょう。
実際の負担は「学費以外」にある
歌舞伎俳優研修は受講料が無料で、基礎教育を受けられる制度です。ただし、宿舎は有料であり、利用には審査があります。さらに奨励費は貸与で、修了後に一定期間活動することで返還が免除される仕組みです。
学費そのものは不要でも、住まいや生活にかかる費用は避けられません。出願を考える際には、最新の募集要項を確認し、家計の見通しを立てておくと安心でしょう。
出典
独立行政法人 日本芸術文化振興会 募集要項
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
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