「授業料無償化」で私立高校も選びやすくなった!? 公立と比べて3年間の総費用は“いくら差”がある?

配信日: 2025.08.21 更新日: 2025.09.26
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「授業料無償化」で私立高校も選びやすくなった!? 公立と比べて3年間の総費用は“いくら差”がある?
「授業料無償化」が広がり、公立だけでなく私立高校も進学先として検討しやすくなったという人もいるでしょう。
 
しかしその一方で、「本当に家計への負担が軽くなるの?」「公立と私立の差はどれくらい縮まるの?」と疑問を持つ保護者もいると思われます。実際、授業料が無償になっても、教材費や入学金、通学費などの支出は残ります。
 
本記事では、文部科学省の調査データをもとに、公立と私立の高校に3年間通った場合の総費用の差を整理し、無償化によってどこまで負担が軽減されるのかについて解説します。
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公立と私立の3年間費用を比較すると?

文部科学省の「令和5年度 子供の学習費調査」によれば、高校に通うための「学校教育費」(授業料・教材費・修学旅行費など)の年額は、公立高校が35万1452円、私立高校が76万6490円となっています。
 
この数字を3年間で計算すると、公立高校が約105万円、私立高校が約230万円となり、3年間で約125万円の差が出ることが分かります。単純に比較すると、私立は公立の倍以上の負担になっているのです。
 

授業料無償化でどこまで差が縮まる?

2025年4月からの制度拡充により、高等学校等就学支援金の年間支給額は公立高校が11万8800円、私立高校が最大39万6000円となりました。
 
さらに2026年度からは私立への支援が拡大し、最大45万7000円が支給される予定です。では、この補助を差し引いた場合の負担額は以下のようになります。


・公立高校:35万円−11万9000円=年間23万1000円
・私立高校:77万円−39万6000円=年間37万4000円

この結果、年間差は約14万円にまで縮まります。さらに2026年度以降は、私立の補助額が増えるため、年間差は12万円前後にまで縮小すると見込まれます。つまり、従来の「公立と私立で倍以上違う」という感覚から比べると、授業料の差は大幅に縮まってきているのです。
 

授業料が無償化されても残る「学校外活動費」

授業料の無償化によって学校教育費の差は縮まりますが、家庭にとって大きな負担となるのが「学校外活動費」です。これは、塾や模試、通信教育、検定料など、学校の外で学習や進学準備にかかる支出を指します。
 
「令和5年度 子供の学習費調査」によれば、高校生1人あたりの年間学校外活動費は、公立で24万6300円、私立で26万3793円となっています。3年間に換算すると、公立で約74万円、私立で約79万円と決して小さな金額ではありません。
 
つまり、授業料が軽減されても、進学準備や学力強化にかかる費用は依然として残ります。特に大学進学を目指す家庭では、この学校外活動費が家計の大きな負担となりやすく、進学先の選択にも影響を与えることがあるでしょう。
 

高校選びは費用だけでなく、価値も含めて考える

授業料無償化によって、これまでよりも私立を選びやすくなったのは確かです。しかし、公立と私立の違いはお金だけでは測れません。
 
私立高校には、進学実績や教育カリキュラムの独自性、クラブ活動の充実度など、公立にはない特色があります。その分、追加の費用がかかるのは事実ですが、教育の質や学習環境という価値を考えれば、無償化によって選択肢が広がったともいえます。
 
一方、公立高校は費用負担が少なく、通学距離が短い場合も多いため、家計にとって安心感があります。特に大学進学や習い事に資金を回したい家庭にとって、公立を選ぶメリットは依然として大きいでしょう。
 

進学先を決めるときは費用と教育内容をバランスよく考えよう

授業料無償化の拡大によって、公立と私立の費用差は着実に縮まっています。特に2026年度以降は、授業料に限れば年間の負担差が10万円台前半にまで小さくなる見込みです。従来のように「私立は高すぎて選べない」と考えていた家庭にとって、進路の選択肢が広がったことは間違いありません。
 
ただし、授業料以外の費用は依然として大きな差が残り、3年間で100万円以上の違いになるケースも少なくありません。
 
そのため、高校選びは単に費用の多寡だけで判断するのではなく、教育内容や子どもの適性と合わせて総合的に検討することが大切です。授業料無償化は進学の選択肢を広げる追い風にはなりますが、最終的な決定には家計と教育方針の両面から慎重に向き合うことが求められるでしょう。
 

出典

文部科学省 令和5年度子供の学習費調査の結果を公表します
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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