大学生の子どもが「月8万円の奨学金」でひとり暮らし中。バイトを始めるそうですが、「貯金」と「奨学金を減らす」どちらをすすめるべき?
そんなときに悩むのが「余裕ができたら貯金すべきか」「奨学金の受給額を減らすべきか」という選択です。本記事では、それぞれのメリット・デメリットを整理し、家庭としてどう考えるとよいのかを解説します。
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奨学金で生活する大学生のリアルな状況
月8万円の奨学金を受け取りながら、ひとり暮らしをしている大学生は多くいます。しかし、実際に生活費を試算すると余裕はあまりありません。
全国大学生活協同組合連合会が実施した「第60回学生生活実態調査」によると、奨学金を受け取りながらひとり暮らしをしている大学生の支出合計は約13万8700円とされています。これは、食費や居住費、日常費などを含む金額です。
結果として、仕送りや奨学金だけの収入では足りないというのが現実で、アルバイトをして補うのは自然な流れだといえます。
アルバイト収入は「貯金」に回す?
アルバイトで得た収入を「貯金」に回すのは非常に有効です。ひとり暮らしの大学生活では、予想外の出費が発生することが多いからです。
たとえば、冷蔵庫や洗濯機といった家電の故障、病気やケガでの医療費、帰省の交通費、就職活動でのスーツや交通費など、突発的に数万円単位のお金が必要になる場面は珍しくありません。貯金があれば、そうしたときに慌てずに対応できます。
また、学生のうちから「収入の一部を貯金に回す」という習慣を持つことは、社会人になってからも役立ちます。お金の管理能力を身につけることは、奨学金の返済にもプラスになるでしょう。
ただし、貯金をしても奨学金の返済額自体は減りません。卒業後は毎月1万5000円をおよそ15年かけて返済していくケースが多いため、将来の負担はそのまま残ります。
奨学金を「減らす」選択肢とは?
アルバイト収入が安定して入るようになった場合、奨学金の受給額を減らすという選択肢もあります。
奨学金は「途中から月額を減らす」「一時的に停止する」といった手続きが可能です。たとえば、大学2年生から月8万円を6万円に減額すれば、3年間で72万円の差が出ます。卒業後の返済額を大きく減らせるのは大きなメリットです。
ただし、注意点もあります。いったん受給額を減らしても再増額の申請は制度上可能ですが、審査や条件によっては難しい場合もあります。したがって、減額の判断は慎重に行いましょう。アルバイト収入が不安定になったり、急な支出が増えたりしたときに、生活が苦しくなるリスクもあるのです。
親としてすすめやすい選択は?
結論からいえば、大学生のうちは「まずは貯金を優先する」ことがおすすめです。
前述のとおり、ひとり暮らしには突発的な出費がつきものであり、貯金がないと家計が一気に苦しくなるためです。また、奨学金の減額は一度行うと柔軟に変更しにくいため、安易に決断するよりは余裕が安定して出ていると確認できてからの方が安心だからです。
ただし、アルバイトと学業のバランスを崩さないことが大前提です。働きすぎて単位を落としたり、体調を崩したりしては本末転倒です。親としては「お金の使い方を一緒に考える」「必要なら減額もできると伝える」といったサポートが有効でしょう。
まとめ:今の安心と将来の負担のバランスを考える
月8万円の奨学金でひとり暮らしをしている大学生にとって、アルバイト収入の使い道は大きなテーマです。基本は「バイト代は貯金に回す」、余裕が安定して続くと分かった段階で「奨学金の減額」を検討するのが現実的な方法です。
貯金によって今の生活に安心を持ちながら、将来の返済も見据えてバランスを取ることが大切です。親子で一緒にライフプランを考え、無理のない範囲で学業と生活の両立を支えていくことが、結果的に子どもの夢を後押しすることにつながります。
出典
全国大学生活協同組合連合会 第60回学生生活実態調査 概要報告
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
