夫婦手取り28万円、毎月6万円の奨学金返済が家計を圧迫しています。わが家は減額や免除の対象になりますか?
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目次
減額返還制度とは? 手取り28万円世帯は対象になるのか
奨学金の「減額返還制度」は、毎月の返済額を一時的に減額できることで、生活負担を軽減できる制度です。たとえば、通常月額2万円の返済が、1万円や5000円、あるいはより少ない額に減額できる場合もあります。
【利用できる基準(目安)】
給与所得者の場合、年収400万円以下であれば対象となり、扶養する子どもが2人の場合は年収500万円以下、3人以上の場合は600万円以下まで基準が緩和されています。手取り金額ではなく、課税前収入で判定されるため、各種証明書をご確認ください。
夫婦で月収28万円(年収約336万円)・子どもなしの場合は基準を満たす可能性があります。
【こんなふうに減額できます】
月額返済は、4分の1、3分の1、2分の1、または3分の2まで選択して減額可能です。ただし、その分返済期間は延長されます。
【申請の流れ】
JASSOの「スカラネット・パーソナル」からWeb上で申請ができ、マイナンバー提出済みの場合は所得証明書等の郵送は不要です。郵送申請も引き続き可能です。
返還猶予・免除制度の違いと注意点
減額以外にも、「一時的に返済を止められる制度」や「そもそも返済しなくてよくなる制度」があります。ただし、申請には厳しい条件があり、誰もが利用できるわけではありません。
■ 返還期限猶予制度
一定期間、返済を一時的に猶予(合計最長10年まで)できます(災害・傷病・育児休業等一部理由は上限なし)。
経済的困難、失業、病気、育児・介護などの理由の場合に申請できます。
収入・所得基準は「年収300万円未満」や「所得120万円以下」程度が目安(扶養家族数で控除増)です。
「手取り」ではなく税引前の年収・所得で判定されます。世帯の手取り28万円だと条件ギリギリの可能性もありますが、扶養する家族数が多い場合は基準を下回って認められる場合があります。
■ 返還免除制度
原則、本人死亡または重度の障害で労働が困難な場合が対象です。経済的困窮のみでは認められません。
「免除」は特例的な制度なので、日常生活の困窮時は「減額返還」や「返還期限猶予」の利用を検討しましょう。
制度が使えない場合は?自治体支援や他の対策も検討しよう
もしJASSOの制度に該当しなかったとしても、まだ他のサポート方法があります。
・地方自治体の奨学金返還支援制度
一部の自治体では、Uターン・Iターン就職者や医療・教育従事者などを対象に奨学金返還の一部補助や全額免除等の支援を実施しています。詳細は各自治体の公式サイトをチェックしてください。
・生活保護受給中や住民税非課税世帯(本人)の場合、返還猶予の申請ができる
生活保護を受けていたり、本⼈が住民税非課税世帯で収入基準に該当したりする場合、JASSOの返還期限猶予申請が可能です。ただし、「本人の収入・所得」が基準を満たす必要があり、必ず世帯全体が該当する訳ではありません。
・どうしても返せないときは債務整理も最終手段
任意整理・個人再生・自己破産などの法的手続きで奨学金返済負担を軽減または免責できます。ただし、こうした手続きでは信用情報に傷がつくだけでなく、自己破産・個人再生の場合、保証人や連帯保証人に残債が一括請求されるリスクも伴います。慎重に検討し、必要に応じて法律専門家に相談しましょう。
あなたの家計でも、制度を使えば未来は変えられる
月6万円の返済が重く感じるのは、あなただけではありません。
夫婦で月の手取り28万円という状況は、まさに「減額返還制度」などの対象世帯に該当する可能性が高いです。家計に少しでも余裕ができれば、心にもゆとりが生まれます。今後のライフプランを見直すためにも、今日からできる一歩を踏み出してみてください。
出典
独立行政法人日本学生支援機構 月々の返還額を少なくする(減額返還制度)
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
