「好きなバンドだけど、お金払ってない」という息子の発言に衝撃! サブスク世代の若者は、本当に「CD」を買わなくなった? データをもとに解説
そんな若者の発言に驚いた経験はないでしょうか。かつては好きな音楽を聴くためには、CDを購入し、プレーヤーに入れて何度も繰り返し聴いたものです。棚に並ぶCDジャケットや歌詞カードにも愛着があり、音楽は手に入れるものでした。
しかし今は、スマホ1台あれば音楽は無料で聴き放題、YouTubeやサブスクで「お金を払わずに聴く」ことがあたり前になりつつあります。とはいえ、本当にCDは売れなくなったのでしょうか。
本記事では、若年層の音楽との付き合い方を紐解きながら「CDは本当に売れなくなったのか?」について検証します。
FP2級、日商簿記2級、宅地建物取引士、証券外務員1種
銀行にて12年勤務し、法人および富裕層向けのコンサルティング営業に従事。特に相続対策や遊休地の有効活用に関する提案を多数手がけ、資産管理・税務・不動産戦略に精通。銀行で培った知識と経験を活かし、収益最大化やリスク管理を考慮した土地活用のアドバイスを得意とする。
現在は、2社の経理を担当しながら、これまでの経験をもとに複数の金融メディアでお金に関する情報を発信。実践的かつ分かりやすい情報提供を心がけている。
若者の音楽体験は無料+SNSがスタンダードに
2024年度の「音楽メディアユーザー実態調査」(日本レコード協会)によれば、若年層はYouTubeなどの動画共有サイトに加え、Instagram(インスタグラム)やTikTok(ティックトック)といったSNSを通じて音楽に触れる機会が多いことが分かります。
また、10代・20代では、定額制音楽配信サービス(サブスクリプション)が幅広く利用されています。AppleMusicやSpotify、LINEMUSICといったサービスでは学生割引などがあり、低コストで多くの楽曲にアクセスできることも、利用を後押しする要因となっているのでしょう。
このように、若者にとって音楽は「無料または定額で楽しむもの」という認識が定着しており、物理的なCDを買って聴くという行為は、決して主流ではなくなっているのです。
CD購入は本当に減ったのか?
実際、CDの売上もこの流れを裏付けています。日本レコード協会の資料によれば、2000年当時のCD生産枚数は約4億1405万枚、金額は5239億円に上っていました。音楽を聴く手段として、CDが圧倒的な主役だった時代です。
それに対し、2024年のCD生産枚数は約1億450万枚、金額は1402億円で、生産枚数は約4分の1、金額も4分の1近くにまで縮小しています。
こうした長期的な推移を見ると、CDは誰もが買うあたり前のものではなくなったと言えます。
音楽の楽しみ方が「所有するもの」から「アクセスして聴くもの」へと変わった今、CDは時代の流れとともに存在感を失いつつあるのかもしれません。
それでもCDを買う若者がいる理由
しかし、CD購入が一般的ではなくなった今でも、「あえてCDを買う」若者は一定数存在します。その背景には、音楽を単なる再生コンテンツとしてではなく、「推し」や「思い出」として手元に残したいという気持ちがあるようです。
特に、アイドルやK-POPなどのファン層では、CDを購入することが応援の証としての意味を持ちます。数量限定のジャケットやフォトカード、イベント応募券などの特典が付くことも多く、「CDを買うこと自体が体験の一部」として楽しまれているのです。
まとめ
2024年における音楽関連への支出額は1人あたり約8000円で、前年から微増傾向です。
その内訳を見ると、定額制音楽配信サービスへの支出は約600円、「CD購入」は約1000円と、依然としてCDにも一定の需要が残っていることが分かります。
CDを購入する人は確かに全体としては減少傾向にありますが、応援する、思い出にするといった、あえて買うという選択も生まれている、そんな現在地が見えてきます。
出典
一般社団法人日本レコード協会 2024年度調査結果 報告書-公表版 2025年3月
一般社団法人日本レコード協会 音楽ソフト種類別生産実績推移
執筆者 : 竹下ひとみ
FP2級、日商簿記2級、宅地建物取引士、証券外務員1種
