花火大会の日、居酒屋に「トイレ貸してください」と観覧客が殺到! 厚意で「タダで貸す」べき? 店舗にのしかかる負担とは

配信日: 2025.08.23 更新日: 2025.09.26
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花火大会の日、居酒屋に「トイレ貸してください」と観覧客が殺到! 厚意で「タダで貸す」べき? 店舗にのしかかる負担とは
花火大会や夏祭りといった大規模イベントの日には、会場近くや最寄り駅が人であふれます。楽しさの裏側で必ずと言っていいほど問題になるのが「トイレ不足」です。公共トイレは長蛇の列、耐えきれなくなった人々が居酒屋やカフェに駆け込み「トイレだけ貸してほしい」と頼む光景は、夏の風物詩のようにもなっています。
 
ただ、店側からすればトイレはお客さまのために用意した設備です。厚意で貸しても水道代や清掃の負担は増え、ときには本来のお客さまに迷惑がかかることもあります。それでも「タダで貸すべき」なのでしょうか。
 
本記事では、大規模イベント時の「トイレ貸してください」問題についての考え方や、店舗が可能な対策について見ていきます。
宇野源一

AFP

花火大会で増える「トイレ貸してください」問題

花火大会や夏祭りは、人出が数万人規模にふくれあがることも少なくない一方、公共トイレの数は限られています。特に子どもや高齢者にとっては切実な問題であり、近隣の飲食店に助けを求めるのも自然な流れと言えます。
 
一方で、店側からすれば利用客でもない人を受け入れることには葛藤があることでしょう。断れば「冷たい店」と思われかねず、貸せば貸したで負担が増すという板挟みが毎年繰り返されているようです。
 

店舗にのしかかる負担

「トイレくらい貸してあげればいいじゃないか」と思う人も多いかもしれません。
 
しかし、店舗にとっては水道代やトイレットペーパーなどの消耗品の負担は増え、さらに不特定多数の人の利用でトイレが汚れるリスクも高まります。汚れれば清掃すれば良いと考えるかもしれませんが、清掃する頻度が増えればスタッフの労力もかかり、本来の接客に支障をきたすことさえあるでしょう。
 
さらに、居酒屋やカフェの利用客が「トイレが汚い」と感じれば、店の評価が下がりかねません。つまり無料でトイレを貸すことは、見えないコストやリスクを背負うことと言っても過言ではありません。
 

それでも貸すことで得られるもの

一方で、トイレを貸すことで得られるメリットも存在します。困っている人を助ける行為は「親切なお店」というイメージを広めます。トイレを借りた人が「今度はこの店に行ってみよう」と思い、実際に新規顧客の獲得につながる可能性もあります。
 
また、イベントの際には「トイレを貸してくれる店」としてSNSや地図アプリで情報が共有され、地域での知名度が高まることもあります。結果的にお店のブランディングやリピーター獲得につながるケースもあるのです。
 

店舗ごとの判断と工夫

リスクを許容しつつメリットも得たい場合は、店舗としてどう対応すべきでしょうか。
 
完全に無料でトイレを開放するのが難しければ、「ワンドリンク注文をお願いする」あるいは「利用料を100円いただく」といった条件を設けるのも一案です。少額でもトイレを使うことの対価を設定することで、店側の負担を軽減できます。
 

貸さない場合の工夫

逆に、トイレを貸さない方針をとるのであれば、「当店のトイレは飲食をする(お買い物をする)お客さま専用です」と掲示するなど、ルールを明確にしておくことが大切です。事前に方針を示すことで、不要なトラブルを避けられるでしょう。
 

地域や自治体との連携

本来であればトイレ不足は自治体や主催者が臨時トイレを設置するなどして解決すべき課題でもあります。店舗だけに負担を押しつけず、行政や地域ぐるみで取り組む姿勢が求められるでしょう。
 

まとめ

花火大会の日に、近隣の店舗が「トイレをタダで貸すべきか」という問いに、唯一の正解はありません。店舗には確かにコストやリスクがありながらも、イメージアップや地域貢献といったメリットも存在します。
 
大切なのは、それぞれの店が自らの方針を明確にし、利用者にもルールを伝えることです。貸すのか、断るのか、条件付きにするのか、店舗の判断が尊重されるべきでしょう。
 
夏のイベントを楽しむ人々と街で商いを営む人々が、互いに気持ちよく過ごせる仕組みをつくること。それこそが、本当の意味で地域に根ざした花火大会の姿なのかもしれません。
 
執筆者 : 宇野源一
AFP

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