「お得だから」と出張で“QUOカード付き”のホテルを予約する同僚…「どうせバレないでしょ」と思っていたら、経理担当者から確認が!? 利用時の“注意点・リスク”とは
そんな理由で出張先のホテルを選ぶ同僚が、あなたの周りにもいませんか? ビジネスホテルではQUOカード付きプランが定番化しており、ちょっと得した気分になれるとして人気です。
しかし、ビジネスシーンにおいて、本当に問題ないのでしょうか。実は、会社の経費で宿泊する出張の場合、QUOカードを社員が個人的にもらって使うことには、注意が必要です。
本記事では、QUOカード付きプランの仕組みやメリット、そして出張で利用する際の注意点やリスクについて分かりやすく解説します。
FP2級、日商簿記2級、宅地建物取引士、証券外務員1種
銀行にて12年勤務し、法人および富裕層向けのコンサルティング営業に従事。特に相続対策や遊休地の有効活用に関する提案を多数手がけ、資産管理・税務・不動産戦略に精通。銀行で培った知識と経験を活かし、収益最大化やリスク管理を考慮した土地活用のアドバイスを得意とする。
現在は、2社の経理を担当しながら、これまでの経験をもとに複数の金融メディアでお金に関する情報を発信。実践的かつ分かりやすい情報提供を心がけている。
予約サイトで定番化? QUOカード付きプランの実態
ビジネスホテルの予約サイトを見て、「QUOカード1000円分付き」「QUOカード3000円分プラン」などの表示を目にしたことがある人もいるでしょう。これは、宿泊料金にQUOカードの金額が含まれており、チェックイン時にカードが手渡されるタイプの宿泊プランです。
QUOカードは、コンビニや書店、ドラッグストアなど多くの店舗で使えるため、現金のような感覚で利用でき、お得であると感じるビジネスパーソンも少なくありません。
実際に、大手予約サイトのじゃらんでは、QUOカード付きプランをまとめた特集ページがあり、検索しやすくなっています。これを見ると、まるで出張向けとして推奨されているかのような印象を受けるかもしれません。
しかし、注意すべきは、こうしたプランの宿泊費にはQUOカード分の金額が上乗せされているという点です。「通常プラン+特典」に見えますが、実際には8000円の宿泊に3000円分のQUOカードが付いて、合計1万1000円になるような料金設定であり、企業によってはその差額の扱いが問題視されることもあります。
出張で使うときの注意点
QUOカード付きプランを会社の出張で利用する際には、経費精算の方式と会社の旅費規定をしっかり確認しておく必要があります。
実費精算の場合、QUOカード分の費用も含めて会社が宿泊費を負担することになります。そのため、社員が個人的にQUOカードを使用すると、業務上横領や着服と判断される恐れがあるのです。
実際にこのようなケースで、懲戒処分につながった事例も報告されています。
一方、「宿泊費は1泊1万円まで」など、概算で支給されるケースであれば、ある程度社員の裁量が認められることもあります。ただしその場合でも、「金券付きプランの禁止」を明文化しているケースだと、黙って利用するとトラブルのもとです。
出張先のホテルを選ぶ際は、「周りがやっているから」と安易に決めず、必ず自社の出張旅費規定や上司に確認を取りましょう。
「バレないからOK」は通用しない?
QUOカード付きプランを利用しても、領収書にはQUOカード付きと明記されないケースもあり、外見上は通常の宿泊費と変わらないこともあるでしょう。このため、「どうせバレないだろう」と軽い気持ちで利用する人もいるかもしれません。
しかし、こうした思い込みは非常に危険です。
経理担当者は、ホテル名や宿泊料金、日付などからプランの内容を照会することが可能です。そのため、不自然な宿泊費に気づかれた場合、そこから詳細な説明を求められることもあるかもしれません。特に繁忙期でもない時期に、相場より高額な宿泊費が計上されていれば、チェックの対象となっても不思議ではないでしょう。
金額の大小に関係なく、個人の利益目的と判断されれば、信頼を損ねる重大な問題となりかねません。
まとめ
QUOカード付きのホテルプランは、一見するとお得に思えますが、会社の出張で利用する際には注意が必要です。たとえ領収書にQUOカードの記載がなくても、経理担当者の確認で発覚するケースは珍しくありません。
短期的なお得を優先するより、長期的な信頼とキャリアを守ることを意識し、自社の旅費規定を確認し、ルールに沿った行動を心がけましょう。
執筆者 : 竹下ひとみ
FP2級、日商簿記2級、宅地建物取引士、証券外務員1種
