出張先で「新幹線が運休」…やむなく宿泊しましたが、宿泊費用は出ませんでした。この場合の宿泊費は“経費”にならないのでしょうか?
本記事では、そうした予期せぬ出費が経費として認められるかどうかを解説しながら、実務で困らないための備えやポイントについても紹介します。
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出張中の新幹線運休で宿泊……この費用は経費になる?
出張の帰りに新幹線が運休し、その日のうちに帰れず現地で宿泊することになった。こうしたケースは、天候や設備トラブルなど予測不能な要因で起こり得ます。このような状況で発生した宿泊費は、業務に関連した支出として、経費として認められるのでしょうか。
結論としては、会社の就業規則や旅費交通費支給規程によって異なりますが、一般的には「業務遂行上やむを得ない出費」として認められることが多いです。ただし、判断には一定の基準が必要で、無条件に経費とされるわけではありません。
経費として認められるための条件とは?
まず前提として、その宿泊が業務に必要だったことが明確である必要があります。具体的には、以下のような状況が該当します。
・天候や事故などにより交通機関が止まり、帰宅が困難になった
・業務上の都合で延泊せざるを得なかった
・次の日に業務が続くため、現地に滞在する必要があった
このようなケースでは、本人の意思で宿泊したのではなく、業務上の必要性があったと判断され、経費処理が認められる可能性が高まります。一方で、「観光目的で延泊した」「帰るのが面倒だった」など、私的な理由による宿泊は経費にはなりません。
また、個人事業主の場合でも、業務遂行に必要であったことが合理的に説明できる状況であれば、旅費交通費として経費に計上できます。
証拠や社内ルールがカギ! 対応時のポイント
宿泊費を経費として認めてもらうためには、いくつかの実務的な対応が必要です。
まずは証拠を残すことが大切です。たとえば、運休や遅延の証明書、鉄道会社の運行情報のスクリーンショット、宿泊施設の領収書などです。これらの資料があることで、やむを得ず宿泊したという事実を裏付けられます。
次に、会社の旅費交通費支給規程を確認しておきましょう。多くの企業では、交通機関のトラブルによってやむを得ず延泊した場合の扱いについて定められています。こうした規程に従えば、経理処理もスムーズに進みます。
さらに、宿泊が必要になった時点で、上司や経理担当者に早めに連絡を取ることも大切です。事後報告ではトラブルになることもあるため、当日中に「このような理由で宿泊する」と報告しておくと安心です。
また、企業側としては、このような突発的なケースにも対応できるよう、旅費交通費支給規程に「交通機関の遅延や運休による宿泊は会社負担とする」といった記載を入れておくことが望ましいです。社員が安心して出張に行ける体制を整えることが、結果として業務効率の向上にもつながります。
急なトラブルでも慌てず対応できるよう備えよう
新幹線の運休などにより、やむを得ず宿泊が必要になることは誰にでも起こり得ます。このような場合、その費用が経費として認められるかどうかは、状況の説明や証拠の有無、そして社内ルールに左右されます。
適切な証拠を残し、上司や経理に迅速に報告することで、スムーズな経費処理が可能になります。また、企業側も旅費交通費支給規程の見直しを行い、突発的なトラブルへの対応方針を明確にしておくことが重要です。
不測の事態が起きたときでも、慌てず正しく対応できるよう、日ごろから備えておくことが安心につながります。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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