カーナビでも「NHK受信料」の支払いは必要? 東京消防庁「1100万円」、都庁「5100万円」未払い…消防車・公用車も“1台単位”で対象になるの? 個人利用や事業所利用の要件も解説
そう聞いて驚いた人もいるのではないでしょうか。
2025年7月、消防車両や消防艇に搭載されたテレビ機能付きナビゲーションシステムについて、東京消防庁がNHKと契約をしておらず、未払い額が約1100万円にのぼることが明らかになりました。
しかし、こうした事例は決して東京消防庁に限った話ではなく、実はほかの自治体などでも同様の見落としが発生しているのです。
「自分の車は大丈夫?」「搭載されているだけで契約義務があるの?」そんな不安を抱いた人へ向けて、本記事では、NHK受信料の仕組みや、個人利用と事業所利用での契約要件の違いについて分かりやすく解説します。
NHK受信料に関する制度を正しく理解する一助となれば幸いです。
FP2級、日商簿記2級、宅地建物取引士、証券外務員1種
銀行にて12年勤務し、法人および富裕層向けのコンサルティング営業に従事。特に相続対策や遊休地の有効活用に関する提案を多数手がけ、資産管理・税務・不動産戦略に精通。銀行で培った知識と経験を活かし、収益最大化やリスク管理を考慮した土地活用のアドバイスを得意とする。
現在は、2社の経理を担当しながら、これまでの経験をもとに複数の金融メディアでお金に関する情報を発信。実践的かつ分かりやすい情報提供を心がけている。
東京消防庁に続き都庁も……NHK受信料の未払い問題とは?
東京消防庁が公表したNHK受信料約1100万円の未払いは、消防車両51台と消防艇4艇についてです。
最長16年にわたって契約がされておらず、同庁は「契約が必要という認識が不足していた」と説明しました。今後はNHKと協議し、適切に対応する方針を示しています。
また同日、東京都も公用車518台について、同様の契約漏れがあったことを発表しました。こちらの未払い額は約5100万円とされており、東京消防庁と合わせると、東京都全体では約6200万円にのぼる計算です。
テレビ機能付きカーナビがNHKの受信契約の対象となることが十分に理解されておらず、制度全体の理解不足が全国的に浮き彫りになりつつあります。
NHK受信料はカーナビにも必要?
NHK受信料は、放送法第64条に基づき「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者」に対して、契約義務が課されます。ここで重要なのは、放送を実際に視聴するかどうかではなく、受信できる状態にあるかどうかで判断されるという点です。
つまり、カーナビにワンセグやフルセグといったテレビ受信機能が搭載されている場合、テレビを見ていなくても放送を受信できる設備と見なされ、NHKとの契約義務が発生します。
一方、カーナビにテレビ機能が搭載されておらず、あるいは受信機能が除去され、明らかに放送の受信を目的としない設備となっている場合には、契約義務が免除されるケースもあります。
個人と事業所でこんなに違う! NHKとの契約ルール
NHKの受信契約は、個人(世帯)と法人(事業所)で取り扱いが異なります。
例えば、自家用車にテレビ機能付きカーナビが搭載されている場合、すでに自宅でNHKと契約していれば、原則として追加契約は不要です。これは、受信契約が「世帯単位」であり、自家用車は家庭の一部として扱われるためです。
一方、法人や自治体が保有するような事業所の契約では「設置場所単位」で管理されており、オフィスに設置されたテレビだけでなく、テレビ受信機能付きカーナビを搭載した社用車や公用車も、1台ごとに契約の対象になります。
なお、法人が複数の設備で契約を行う場合、2契約目以降の受信料が半額になる「事業所割引」制度があります。
まとめ
カーナビにテレビ受信機能がある場合、原則としてNHKとの受信契約が必要です。ただし、自家用車については、NHK契約が「世帯単位」であることから、家庭で契約していれば、別途契約する必要はありません。
一方、社用車や公用車の場合は、車両ごとに契約が必要で、東京消防庁で発覚した未払い問題は、こうした契約ルールへの理解不足によるものでした。
このように、個人と事業所では契約の考え方が異なるため、混同しやすい部分もありますが、制度の仕組みを正しく理解しておくことで、 状況に応じた対応ができるのではないでしょうか。
出典
日本放送協会 よくある質問集【参考】放送法(第64条)
日本放送協会 NHK受信料の窓口 事業所契約についてのご案内
日本放送協会 NHK受信料の窓口 「事業所割引」について
執筆者 : 竹下ひとみ
FP2級、日商簿記2級、宅地建物取引士、証券外務員1種
