約2000万円が「未払い」だったケースも!?全国の自治体で“NHK受信料未払い”の原因が「カーナビ」って本当?
「そもそもカーナビに受信契約は必要なのか?」「家庭用と公用車のカーナビでは扱いは変わってくるのか?」こうした疑問を持つ方も多いでしょう。
本記事では、全国で発覚している未払いの現状や原因を整理し、カーナビが未払いになっている原因について解説します。自家用車と公用車の契約の違いについてもあわせて確認していきましょう。
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目次
全国の自治体で未払い続出
公用車のカーナビ未払い問題は、全国50以上の自治体に拡大しており、未払いの総額は1億円を超えるほどの規模に達しているようです。
その要因として、多くの自治体における「カーナビと家庭用テレビは違うもの」という認識を持っている方が多い、ということが想定されます。
例えば、群馬県ではカーナビ付き公用車338台のうち、未契約台数は257台となっており、未契約による未払い額(試算)は、約2000万円におよぶそうです。
また、三重県の場合は、未契約台数146台中(カーナビ付き)、未払い総額は約1435万円といわれています。カーナビにテレビ機能があるだけで個別に契約が必要という点が、盲点になっているようです。
なぜカーナビが盲点に?
NHK受信料の契約の必要性は、放送を受信できる機器を設置したときに発生します。一般的なテレビはもちろん、ポータブルテレビやワンセグ対応スマートフォン、テレビ受信機能が搭載されたカーナビも対象です。
ただし、自家用車であれば世帯単位の契約に含まれるため、追加契約は不要とされています。一方で、公用車や事業用車は世帯契約とは別扱いとなり、個別に契約が必要となるため、車ごとの契約が必要です。
カーナビ=テレビと認識されにくく、個別の契約対象になるという認識が浸透されていないことが主な原因といえるでしょう。「自家用車=追加契約不要」「公用・事業用=車ごとに契約が必要」の決まりを周知し、契約対象機器の全数把握と部門連携を強化する対応が必要となるでしょう。
未払いが自治体財政に与える影響
長年放置された未払い金は自治体の予算に大きな負担となるため、住民への説明責任も問われます。1台あたりの受信料が年間1万数千円程度であっても、それが数十台~数百台の単位で未払いとなれば、未払い金の規模も数百万円に膨れ上がるでしょう。
小さな単位での契約漏れでも、規模と期間によって大きな損失となりかねません。未払い金の支払いと今後の再発防止が必要といえるでしょう。
契約漏れがあった場合の受信料はどうなるのか?
万が一契約漏れがあった場合、「契約が成立した時点」ではなく「受信機器を設置した時点」までさかのぼって受信料を支払う必要があります。ただし、日本放送協会(NHK)では、「受信料の消滅期間は5年になります」と記しています。
つまり、契約漏れが確認された場合には、原則として受信機器設置時から受信料が発生するが、実際に請求されるのは最長5年分まででしょう。自治体にとっても住民にとっても、契約対象機器を正しく把握しておくことが、思わぬ高額支出を防ぐリスク管理につながるでしょう。
公用車や事業車では「カーナビ」が契約漏れの大きな要因になっている
公用車や事業用車に搭載されたカーナビの契約漏れは、NHK受信料未払いの大きな原因の一つになっています。
NHKの受信契約は世帯単位のため、自家用車は家庭契約に含まれて追加契約は不要ですが、公用車や法人車両は別契約が必要です。この制度の違いが周知されておらず、「カーナビも契約対象である」という認識が自治体内部で不足していたことが、全国での未払い発覚につながりました。
この問題は「制度の理解不足」と「組織間連携の欠如」という二つの要因が重なって発生したと考えられます。今後は、車両導入時の受信機能確認や部門間での契約情報の一元管理が、再発防止のカギとなるでしょう。
出典
群馬県 県公用車等のNHK受信契約調査について(財産有効活用課)
三重県 NHKとの放送受信契約に係る調査結果について
日本放送協会 お支払いに関するQ&A
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
