フリマアプリで、すかいらーくやイオンなどの「株主優待券」が販売されていました。現金や金券の出品は禁止なのに、違法じゃないの?
そのため、株主優待券との扱いの違いについて、疑問に思う人も少なくないでしょう。本記事では、なぜ株主優待券の売買が許可されている場合があるのか、また取引にはどのようなリスクが潜んでいるのかについてまとめました。
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目次
フリマアプリが現金や金券の出品を禁止する理由
フリマアプリが現金や商品券、ギフトカードといった金券類の出品を原則として禁止していることについては、大きく分けると2つの理由が考えられます。
理由の一つとして、クレジットカードの不正利用やマネーロンダリング(資金洗浄)などの犯罪行為の温床になるのを防ぐため、というものが考えられます。
例えば、盗んだクレジットカード情報を利用してフリマアプリで換金性が高い商品を購入し、それを現金化するといった手口が考えられます。
これは「クレジットカードの現金化」と呼ばれる行為で、カード会社の規約で禁止されています。フリマアプリの運営側は、こうした不正行為にプラットフォームが利用されるのを防ぐため、換金性の高い金券類の取り扱いを制限しているのです。
また、商品券やプリペイドカードなど、不特定多数の店舗で利用できる前払式の支払手段は、「資金決済に関する法律(資金決済法)」の規制対象となる場合があります。この法律は、利用者の保護を目的としており、発行者に対して資産の保全などを義務付けています。
フリマアプリでの個人間売買は、こうした法的な枠組みから外れると考えられるため、トラブルの元になりかねません。そのため、運営会社はリスク回避の観点から、これらの出品を禁止していると考えられます。
「株主優待券」はなぜ出品できる?
株主優待券が現金や金券と区別され、フリマアプリでの売買が許可されている理由は、違法性と規約の2つの側面から考える必要があるといえるでしょう。
株主優待券の転売行為そのものは、現在のところ違法ではありません。したがって、個人が所有する優待券を売却しても、直ちに罰せられる可能性は低いと考えられます。
ただし、企業側は、株主優待券の転売やオークション、フリマアプリなどへの出品を禁止していることが多いようです。
規約上、株主優待券の転売を禁止されていても、企業と株主との間のルールであり、転売したからといって法的には罰せられないかもしれません。しかし、規約違反であることに変わりはなく、購入はリスクを伴うといえるでしょう。
金券との違い
株主優待券は「特定企業およびグループのサービス利用を促進するための割引券・贈呈券」という側面が強いものです。利用範囲が発行元の企業が展開する店舗やサービスに限定されている点が、現金や全国共通商品券と異なる部分です。
そのためフリマアプリの運営会社は、一部の株主優待券を金銭と同等に扱われるものというカテゴリから除外していると考えられます。
「古物営業法」と株主優待券
株主優待券と「古物営業法」との関連には、注意する必要があります。自身が株主として企業から直接受け取った優待券を売る場合は、自身の不要品を売る行為とみなされ、古物営業法の許可は必要ないと考えられます。
しかし、転売目的で他者から優待券を買い取り、再度販売する場合は、営利目的の「古物」の売買にあたるとされ「古物商許可」が必要となります。無許可で繰り返し行うと、法律違反となるかもしれません。
フリマアプリのルールはどうなっている?
株主優待券の取り扱いについては、フリマアプリ各社で対応が異なっています。規約は随時、更新されることがあるため、出品前には必ず最新のルールを確認することが大切です。
ある会社では、現金や商品券、ギフト券などの出品を禁止していますが、現時点の規約では「株主優待券」そのものを名指しで禁止リストには含めていません。
しかし、電子チケットやプリペイド形式のものなど、優待券の種類によってはほかの禁止項目に抵触する可能性がある点に注意が必要です。
また、株主優待券の出品を明確に禁止しているフリマアプリもあります。不安な場合は、出品前にサポートに問い合わせるのが確実といえるでしょう。
株主優待券は、運営会社の判断により現金や金券と区別されて出品が許されていることがある。ただし、ルールの確認は必要
フリマアプリでの株主優待券の販売は、現状では違法行為ではありません。個人が自身の不要品として売る限りは合法といえますが、営利目的で何度も転売する場合は、古物商許可が必要となるでしょう。
株主優待券の出品については、容認しているアプリもあれば、明確に禁止しているアプリもあります。規約は変更されることがあるため、出品を検討している場合は事前にルールをよく確認してください。
また株主優待券を発行する企業によっては、転売を禁止している場合もあることから、購入者にも利用できないリスクがあります。フリマアプリでの株主優待券の売買は、出品側も購入側もそれぞれのルールとリスクを十分に理解し、自己責任のもと慎重に判断することが大切といえるでしょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
