困窮世帯の6割が「夏休みはいらない」と回答!? 中には“1日1食”の家庭も…「吉野家」「はなまるうどん」企業が支援する背景とは

配信日: 2025.08.30 更新日: 2025.09.26
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困窮世帯の6割が「夏休みはいらない」と回答!? 中には“1日1食”の家庭も…「吉野家」「はなまるうどん」企業が支援する背景とは
子どもたちにとって夏休みは楽しみなイベントですが、その裏で家庭の財布には食費や光熱費などの負担が重くのしかかります。
 
実際に、小中学生がいる困窮世帯を対象にした2024年のある調査では、「夏休みは今より短いほうがいい/なくていい」と答えた割合が約6割に達しました。その理由として「生活費がかかるから」「特別な体験をさせる経済的な余裕がないから」という回答が多く、経済的な厳しさが浮き彫りになっています。
 
さらに、長期休みには「1日2食以下」の子どもが増えるとの報告もあり、深刻さは増していると言えるでしょう。こうした中で、外食チェーンが食のセーフティネットとして支援を広げています。
 
本記事では、困窮世帯が「夏休みはいらない」と感じる理由、企業が支援に踏み出す背景、そして飲食店による具体的な取り組みについて解説します。家庭の事情だけでなく、社会全体でどう子どもを支えるかという視点を知ることで、ニュースの背景が一段と理解しやすくなるでしょう。
竹下ひとみ

FP2級、日商簿記2級、宅地建物取引士、証券外務員1種

銀行にて12年勤務し、法人および富裕層向けのコンサルティング営業に従事。特に相続対策や遊休地の有効活用に関する提案を多数手がけ、資産管理・税務・不動産戦略に精通。銀行で培った知識と経験を活かし、収益最大化やリスク管理を考慮した土地活用のアドバイスを得意とする。

現在は、2社の経理を担当しながら、これまでの経験をもとに複数の金融メディアでお金に関する情報を発信。実践的かつ分かりやすい情報提供を心がけている。

困窮世帯が「夏休みはいらない」と感じる理由

ここでは、調査結果をもとに、夏休みが家計や保護者にとってどんな負担になるのかを整理してみましょう。
 
1. 食費のひっ迫
困窮世帯を対象とした2025年6月の調査では、6月の食費が「3万円以下」と答えた家庭が約半数(47.3%)、さらに「1万円以下」という家庭も約5%にのぼり、1日あたり300円ほどしか使えない状況です。給食がない夏休みは、その負担をさらに増大させ、「支出」が家計を圧迫します。
 
2.夏休みのレジャーや体験予算の不足
同調査では、「夏休みに体験にかけられる予算は0円」と答えた家庭が16.6%、さらに「5000円以下」が49.4%と半数近くにのぼりました。映画館に行くだけでも数千円が必要なことを考えると、多くの家庭で文化的体験がぜいたくなものになっているのが実情です。
 
3.栄養と心理的負担の深刻化
支援団体の調査では、「1日2食以下」で過ごす子どもが平時は13%程度に対し、学校給食のない長期休みには約43%と3倍以上に増えることが分かっています。給食が大切な栄養源である子どもにとって、夏休みは健康リスクが高まる時期です。
 
さらに、「どこにも連れて行ってあげられない」「絵日記に書く思い出がなくて子どもがかわいそう」といった切実な声もあり、親にとっては経済面だけでなく心理的な負担も重くのしかかっていることが分かります。
 

企業が支援に踏み出す背景

企業が子ども支援に動くのは、社会的な要請と自らの強みが重なることが考えられます。飲食店は「食」という生活に直結した資源を持っているため、すぐに役立つ支援を形にしやすい業態といえるでしょう。
 
CSRやSDGsといった社会的責任が重視される時代に、地域や家庭を直接支えることは、企業のブランド価値を高めることにもつながります。また、支援の仕組みは子どもにとっては安心、地域にとっては助け合い、企業にとっては信頼醸成と、いわゆる「三方よし」の構造を持ちます。
 
こうした背景から、飲食企業は社会課題の解決において重要な役割を担っていると言えそうです。
 

広がる夏休みの支援

2025年の夏は外食チェーンで子ども向けの支援が広がっています。
 
吉野家、はなまるうどん、モスバーガーは、地域の飲食店をこども食堂化するサービス「こどもごちめし」を運営するNPO法人と連携し、支援を必要とする中学生以下を対象にした全国規模での無償の食事提供を行っています。
 
さらに夏休みは子どもがいる家庭にとって、お財布に優しいキャンペーンが多くあります。ピザハットでは、7月18日から8月末まで、対象メニューのセット購入でデザートやドリンクが付く特典を実施中です。
 
関西を中心に展開するラーメンチェーン「神座」では、一部店舗において麺類を注文した大人1人につき小学生以下の子ども1人まで「おこさまラーメン」を無料で提供しています。
 
いずれも期間や対象店舗、条件が定められており、予定数に達し次第終了となるケースもあるため、利用する際には最新の情報を確認しましょう。
 

まとめ

夏休みは子どもにとって楽しみである一方、困窮世帯には食費や体験費用の増大など大きな負担となります。しかし、そうした現実を前に、飲食企業は地域に根ざした支援を広げ、子どもたちの安心と笑顔を守ろうとしています。
 
こうした支援が浸透していけば、「夏休みはいらない」という声を少しずつ減らしていけるのではないでしょうか。
 

出典

認定NPO法人チャリティーサンタ 【調査結果を公開】経済的な困難を抱える家庭の夏休みの実態について
株式会社どうとんぼり神座 夏休みこども0円キャンペーン
日本ピザハット・コーポレーション株式会社 【夏休み限定!親子でおトク】ピザハットの「キッズMY BOX」と「MY BOX」を同時にご注文で、デザート・ドリンクが1品無料のセットに!
株式会社吉野家ホールディングス 【こどもの「夏休みの空腹」を社会で支える】吉野家とはなまるうどん、「こどもごちめし」を通じた無償食事支援を本日開始
NPO法人Kids Future Passport こどもごちめし 地域の飲食店をこども食堂化し、こどもの居場所とまちの未来を育むサービス
 
執筆者 : 竹下ひとみ
FP2級、日商簿記2級、宅地建物取引士、証券外務員1種

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