「ゴミ集積場で600万円発見」というニュースが! もし「自分が落とし主」と偽る人が来たら、どう判断される?“本当の落とし主か”の判断方法とは
先日も群馬県前橋市で、ゴミの中から現金約600万円が見つかったというニュースが話題になりました。もし「これは自分のお金だ」と主張する人物が現れたら、警察は本物の持ち主かどうかをどうやって判断するのでしょうか。
本記事では、「落とし物」の取り扱いと法的な判断について解説します。
ファイナンシャルプランナー2級
「ゴミで発見された現金」はどう扱われるのか?
現金などの遺失物が警察に届けられた場合は、遺失物法によって、いったん警察が保管し、所有者の申し出を待ちます。その期間は原則として3ヶ月で、もし期間内に所有者が名乗り出なければ、落とし物の所有権は拾った人に移るのです。
前橋の事例では、実際にはごみ収集業者が「拾った人」ではありますが、あくまでも「個人」が拾ったのではなく、「市の業務中」に拾ったため、拾い主は「市」となります。
このお金は発見後すぐに警察に届けられたので、警察は所有者をさがしていますが、このまま3ヶ月が過ぎても所有者が見つからなければ、最終的に前橋市が「拾った人」として所有権を取得する可能性があるのです。
「本当に落とし主か?」どう確認するの?
仮に財布を落とした場合、現金以外にも運転免許証や病院の診察券など、落とし主だと判断できる書類等がある可能性があります。ところが、今回の群馬県のような場合、「自分が落とし主だ」と名乗っても、紙幣に名前が書いてあるわけではないので、確認は容易ではありません。
そこで、落とし主と名乗る人が出てきた場合は、「状況」と「証言の正当性」を総合的に判断して「本当の落とし主」であるかを確認していきます。
例えば、お金が封筒や袋に入っていた場合、その封筒の形状や紙幣の種類、被包状態など、持ち主にしか分からないような特徴を具体的に説明できるかが一つの判断材料となるでしょう。
また、「なぜそこで落としたのか」「失くしたのか」の理由も判断材料のひとつとなります。今回のように、ゴミとして出した経緯や、いつどうしてその場所に行ったのか、第三者でも納得のいく説明ができれば、本当の持ち主である信ぴょう性は高くなります。
持ち主が現れなかった場合はどうなる?
遺失物法では3ヶ月内に持ち主が現れなかった場合は、拾い主が所有権を取得するか、自治体に帰属することがあります。
基本的には、拾い主が警察に届ける際の書類で、「所有権を希望する」と選択すれば、所有者が見つからない場合は拾得物は拾い主のものとなりますが、「所有権を希望しない」と記入すれば、所有権は拾い主に変わって、自治体に帰属します。
群馬県の場合は拾い主が「市」の扱いなので、今後所有者が見つからなければ、600万円は「市」が所有権を得ることになるのです。
事件性のある状況でも冷静に、法令に則って対応を
ゴミ集積場から発見された現金は「落とし主が現れる可能性」と「拾得者が所有権を得る可能性」があります。
もし「自分が落とし主」と名乗る人が現れた場合、その証言が本当であるかは、現金の具体的状況、申告内容、警察の記録との整合性など、さまざまな観点で総合的かつ慎重に判断されます。群馬県で見つかった現金の所有者が見つからない場合は、前橋市が所有者に変わって現金の所有権をもつことになります。
もしも街で現金や財布を拾った場合は、トラブルを防ぐためにも警察に速やかに届け出ることが大切です。冷静にルールに沿った対応をするようにしましょう。
出典
e-Gov法令検索 遺失物法
執筆者 : 渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級
