新幹線を1人で「1.5人分」ひろびろ使える! 追加“2000円”でゆとりを買う「S WorkPシート」の価値とは
そのため、姿勢が悪くなって肩や肘が凝ってしまったり、視線や会話が気になって集中できなかったりする悩みを抱えながら作業することがあるのではないでしょうか。
そこで注目したいのが、東海道・山陽新幹線に設定されている「S Work車両」と追加料金2000円でより快適に利用できる「S WorkPシート」です。本記事では、この特別席がどのようなサービスなのか、そして追加料金を払う価値があるのかを詳しく見ていきます。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
S Work車両とは?
S Work車両は、一言でいえば「仕事がしやすい環境を整えた車両」です。東海道・山陽新幹線の16両編成では、7号車の普通車指定席が対象となっています。
まず、この車両では、座席に座ったまま会議や電話が可能です。通常の車両では、電話やWeb会議はデッキに移動して行う必要がありますが、S Work車両では周囲の乗客も同じ目的で利用しているため、「お互いさま」という前提で作業音や通話音が一定程度許容されます。
一方、座席の回転や複数人での歓談は控えなければなりません。快適なワークスペースを保つためには、利用者同士がマナーを守ることが重要です。
通信環境も大きく強化されています。N700SのS Work車両で提供される「S Wi-Fi for Biz」は、従来の「Shinkansen Free Wi-Fi」の約2倍の通信容量があり、接続時間制限なしで使えることが特徴です。さらに、暗号化によるセキュリティ強化も施されており、移動中でも安心して作業を進められます。
つまり、7号車まるごとが「動くレンタルオフィス」になっているといえるでしょう。
プラス2000円で本当に得? S WorkPシートの価値を検証
S WorkPシートは、S Work車両の中でも6~10番A席・C席に設定された特別席です。普通車指定席の料金に2000円を加えるだけで利用でき、座席間隔やスペースが広く取られています。
3席分のスペースが2席に分けられているため、1人で「1.5人分」の空間を使えることが特徴です。これにより、隣席を気にせず肘や肩を動かし、パソコンや書類を広げても窮屈さを感じにくくなります。
テーブルは、手前に引き出すと傾斜がつく仕様です。タイピングや資料閲覧がしやすく、長時間作業しても手首や首への負担が軽減されます。
なお、コンセントはN700Sでは全席に設置されていますが、そのほかの車両では窓側席や最前部・最後部の座席のみとなるため、充電が必要な場合は予約時に確認しておくと安心です。
とはいえ、この2000円は本当に価値があるのでしょうか。
例えば、東京~新大阪間(約2時間30分)の場合、S WorkPシートにかかるコストは1時間あたり約800円です。確かに通常のS Work車両や一般車両でも作業は可能ですが、Pシートは長時間でも姿勢や集中力を保ちやすい環境で、仕上げられる仕事量や質に直結します。
S WorkPシートに座ることで、仕事を効率良く終わらせて到着後の時間をほかの案件や休養に充てられる、移動中の仕事の質を上げて商談や提案の精度が上がるといったことにつながるかもしれません。これが1時間800円というコスト以上の価値になることもあるでしょう。
そう考えれば、2000円の追加は単なる座席代ではなく、成果や時間を買う投資として十分価値あるものになるのではないでしょうか。
2000円は移動を時間と成果に変える投資
S WorkPシートは、単に座席を広くするだけでなく、作業効率や集中力、到着後のパフォーマンスを高める仕組みが整っています。追加料金2000円は、東京~新大阪のような長距離移動で作業を予定している人にとっては、十分回収可能な額でしょう。
短距離利用や作業予定がない場合には不要かもしれませんが、「移動中も生産性を落とさず、快適に過ごしたい」というビジネスパーソンやリモートワーカーにとっては、有効な投資といえるでしょう。
新幹線での移動を、ただの移動時間から「価値ある仕事時間」に変える選択肢として、検討してみる価値は大いにあります。
出典
東海旅客鉄道株式会社 S Work車両
執筆者 : 浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
