買って1年の「エクストレイル」のバンパーをぶつけた!“少しこすっただけ”で「交換10万円」の見積もりでしたが、なぜこんなに高いのですか?「安く修理できない」と言われた理由とは
今回は、買って間もない日産エクストレイルのバンパーを軽くぶつけてしまった人が、ディーラーに修理を依頼したところ、交換で10万円という見積もりを提示された事例をもとに、その背景と注意点を解説します。
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最近の車はセンサー類が豊富にある
近年のSUVやミニバンは、安全性能の向上を目的に、バンパー内部に多数のセンサーが組み込まれています。例えば、前後バンパーには以下のような装備がある場合があります。
・駐車支援用の超音波センサー
・衝突軽減ブレーキ用のレーダー
こうしたセンサーは、外からは小さな丸いカバーが見える程度ですが、内部には精密な電子部品が組み込まれています。そのため、見た目は浅いキズでも、衝撃がセンサーの角度や位置に影響すると、安全装備全体の動作に支障が出る可能性があるのです。
修理することでセンサーに支障が出る
昔の車なら、バンパーを外して板金・塗装で直す「ちょこっと修理」が可能でした。しかし最近は、衝撃によるゆがみがセンサー位置や感度に影響するため、部分的な修理で済ませると誤作動の原因になることがあります。
修理できない=部品交換になってしまう
ディーラーとしては、安全性能に関わる部分はメーカー推奨の修理方法に従わざるを得ません。結果、「バンパーごと新品交換」が標準対応になり、費用が一気に高額になります。
もし板金屋さんで修理したらどうなる?
町の板金工場や格安修理業者に頼めば、パテ埋めと再塗装で見た目はきれいに戻せる場合があります。しかし、その場合はセンサーの再調整や校正作業が行われないことが多く、結果として以下のようなリスクがあります。
・走行中に衝突被害軽減ブレーキが誤作動する
・障害物がないのに警告音が鳴る
・警告灯が点き、車検に通らない
見た目の修理費は抑えられても、安全性や将来的なリスクを考えると、必ずしもお得とは言えません。
なんでディーラーの修理費は高いの?
ディーラー修理の見積もりが高額になるのには、いくつか理由があります。
1. 純正部品の使用
メーカー指定の新品部品のみを使用するため、中古や社外部品より価格が高い。
2. センサーの再調整費用
交換後には専用機器でのエーミング(校正作業)が必要で、その工賃が追加される。
3. 保証と責任
ディーラー修理はメーカー保証が適用されるため、万一、修理後に不具合が出ても無償で再対応してもらえるケースが多い。
4. 作業環境と人件費
整備士はメーカーの研修を受けたスタッフであり、工場設備も最新。これらの維持費が見積もりに反映される。
まとめ
新しい車ほど、安全装備やセンサーが複雑化しており、ちょっとした接触でも「部品丸ごと交換」が必要になるケースが増えています。結果として修理費は高額になり、今回のように10万円前後の見積もりも珍しくありません。
もちろん、見た目だけを直すなら町の板金屋で安く済ませることも可能ですが、安全性や将来的なトラブルを考えると、ディーラー修理の安心感は大きいといえます。
新車を購入したら、まずは車幅や前後の感覚に慣れるまで慎重に運転すること。そして万一ぶつけてしまった場合は、費用だけでなく修理方法や安全面まで考えて選択することが重要です。
執筆者 : 宇野源一
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