「45歳・年収500万円」の夫が早期退職…失業手当は「14万円」ですが、それでも“税金”を払わなきゃダメですか?

配信日: 2025.09.07 更新日: 2025.09.26
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「45歳・年収500万円」の夫が早期退職…失業手当は「14万円」ですが、それでも“税金”を払わなきゃダメですか?
ある日、夫から「早期退職することになった」と言われたら、これからどう生活すればいいのか戸惑いますよね。すぐに再就職先が見つかればいいですが、そうでない場合は失業給付金を受給しつつ、生活のために貯蓄を取り崩す必要もあるかもしれません。
 
住宅ローンや教育費など削れない負担に加えて、税金や社会保険料の支払いまでするとなるとかなり厳しくなることが考えられます。一体どうすればいいのでしょうか。
 
本記事では、45歳・年収500万円の人が会社都合で退職した場合に失業給付金をいくら受け取れるのかをシミュレーションします。また、社会保険料の減額措置など知っておくと安心な制度も合わせて紹介します。
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まずは「会社都合退職」について知っておこう

早期退職は、原則として「自己都合退職」です。ただし、会社が人員削減などを目的に対象者を募るかたちで実施された場合は「会社都合による退職」とみなされるため、自己都合退職と比べて失業給付金を早期に受け取れる可能性があります。
 

自己都合退職:ハローワークで手続き後、7日間の待期期間に加えて1~3ヶ月の給付制限期間があるため、実際に支給が開始されるのは早くて1ヶ月半程度後から
 
会社都合退職:ハローワークで手続き後、7日間の待期期間のあとすぐに支給が開始

 
さらに支給期間にも違いがあります。自己都合退職の場合の支給期間は90日から150日ですが、会社都合退職の場合は90日から330日(年齢、被保険者期間により変動)と、自己都合退職に比べて受給期間が長く設定されています。
 
会社都合での退職は多くの家庭にとって想定外のできごとですが、手続きしてから比較的早期に、長期間給付を受けられるのは助かりますね。
 

45歳・年収500万円の人が受け取れる失業給付金は月額約14万円

失業給付金の1日あたりの給付額は、基本手当日額(賃金日額×給付率)で計算されます。
 
まず賃金日額ですが、これは退職前6ヶ月間に支払われた賃金の総額を180で割った金額です。
 
この賃金には、基本給・残業代・通勤手当・住宅手当などが含まれますが、賞与や退職金は含まれません。今回は計算を簡単にするため、賃金=年収500万円とします。その場合、退職前6ヶ月間に支払われた賃金は年収の半額である250万円となり、賃金日額は約1万3888円です。
 
 賃金日額=250万円÷180=約1万3889円
 
給付率は離職時の年齢と基本日額によって異なり、45歳で基本日額が約1万3889円の場合の給付率は50%です。そのため基本手当日額は約6945円となります。
 
 基本手当日額=約1万3889円×50%=約6945円
 
支給日数は土日祝日を含まないため、1ヶ月のうち約20日が対象とすると、月の支給額は約13万8900円となります。
 
 約6945円×20日=約13万8900円
 
夫婦2人暮らしであれば、14万円ほどでもギリギリやり繰りできそうですが、もし子どもが1人でもいると相当厳しいかもしれません。そこで気になるのが「失業給付金にも税金がかかるのか?」ということです。
 

失業給付金は非課税。でも社会保険料の負担が増える場合も!

失業給付金は非課税所得とされているため所得税や住民税は課税されません。ただし、住民税は前年の所得に基づいて課税されるため、現在失業中であっても前年度に収入がある場合は住民税が発生します。
 
年金については退職に伴い厚生年金から国民年金に切り替わります。厚生年金は会社と折半ですが、国民年金は全額が自己負担となります。保険料は1ヶ月あたり1万7510円(令和7年度)です。
 
健康保険は、任意継続をするか国民健康保険へ切り替えるかを選ぶことができます。任意継続した場合、保険料は退職時の標準報酬月額によって決まりますが、前年度も同じ年収500万円であった場合は同額です。
 
ただし任意継続の場合、在職中は会社と本人で折半していた保険料を全額自己負担することになるため、保険料は2倍となります。
 
国民健康保険に切り替える場合も、基本的には前年度の収入により保険料が決まります。具体的な保険料は自治体により異なりますが、例えば東京都足立区の場合、45歳・年収500万円の人の国民健康保険料は月額約3万9700円です。
 
失業手当を受給できたとしても、住民税や社会保険料を支払うと手元に残るお金がさらに減ってしまうのは辛いですよね。そんな場合に備えてぜひ覚えておいてほしいのが、住民税の支払い猶予や社会保険料の減免制度です。
 

住民税の納付猶予や国民年金、国民健康保険の減免制度をチェック

住民税については、自治体によって、特別区民税や都民税を納期限までに納付することにより、事業の継続または生活の維持を困難にするおそれがあるなどの一定の要件に該当するときは、1年以内の期間に限り換価の猶予が認められる場合があります。
 
換価の猶予が認められた場合、税金の支払いが遅れていても、延滞金が発生しません。また財産の差押や売却も行われないため、その間に納税資金を工面することができます。
 
また国民年金は、失業等により国民年金保険料を納めることが経済的に困難な場合に特例免除を申請することができます。この場合は、前年所得にかかわらず、免除・納付猶予を受けられる特例がありますが、自ら申請しないと適用されないことに注意が必要です。
 
さらに、健康保険を国民健康保険に切り替えた場合は、減免措置を受けられることがあります。おおむね在職中の保険料の本人負担分の水準に維持されるよう一時的に軽減されるため、健康保険を任意継続する場合に比べて負担が減る可能性があります。
 
ただし、保険料が軽減されるのは「非自発的失業者」だけである点に注意してください。会社から退職を強く求められてやむをえず早期退職したのであれば非自発的失業者になりますが、自ら進んで早期退職した場合は非自発的失業者にはなりません。
 

まとめ

早期退職をした場合、失業給付金を受け取ることができますが、在職時より収入が減ることが多いです。
 
住民税や健康保険料などは、要件を満たせば納付が猶予・減免される制度があります。制度ごとに申請方法や窓口が異なるため手続きは大変ですが、少しでも生活費を確保するためにも、早期退職の可能性があると分かった時点で早めに調べておくと安心できそうです。
 

出典

厚生労働省 令和7年8月1日からの基本手当日額等の適用について
厚生労働省 愛知労働局 離職されたみなさまへ~求職者給付受給手続きのためのリーフレット
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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